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おさかな情報 No.32  2005年10月


2005年度 第3回展示テーマ   

    水産物の表示を考える
 

     目

       

 はじめに     


 水産物の表示 

 「表示禁止事項『産地名を示す表示であって、産地名の意味を誤認させるような表示』とは」


 「輸入される外国産魚類の標準和名について」

 「標準和名」

 「標準和名が付いていない外国産魚介類の取り扱いについて(案


 表示の例 

 貝類 

  次回の展示テーマ 



  
はじめに

 食品表示制度の強化のため、平成11年のJAS法の改正により、平成12年7月から、生鮮食品については「名称」および「原産地」、加工食品については「名 称」(加工品の名称のこと)および「原材料名」を記載することが義務付けられました。その後、加工食品についても、「原料原産地」の表示が義務付けられました。
 このように、水産物の名称や産地の表示が義務付けられたことから、国産、 外国産を問わず、それまで多かった鑑定に加えて、名称に関する問い合わせが資料館に多く寄せられるようになりました。なかでも、生鮮魚介類の名称(加工品では原材料名)は、原則として、標準和名とすることになったこともあり、特に外国産魚類の標準和名に関する問い合わせが多くなりました。
 展示では、名称と産地を中心に、パネルと標本で「水産物の表示」を紹介します。また、いくつかの表示の例も紹介します。



  水産物の表示

  食品表示制度の強化のため、平成11年に「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(いわゆるJAS法)」が改正され、平成12年(2000年3月31日告示、7月1日施工)から、生鮮食品については「名称」および「原産地」、加工食品については「名称」(加工品の名称のこと)および「原材料 名」を記載することが義務付けられました。その後、加工食品についても、「原料原産地」の表示が義務付けられました。
  ここでは、以下の資料に基づいて水産物の表示(名称と原産地)について紹介します。

「魚介穎の名称のガイドライン 〜中間とりまとめ〜」 〔平成15年3月、水産物表示検討会) 「水産物加工品の原料原産地表示品目のあり方(中間とりまとめ)」(平成15年6月、水産物表示検討会) 「生鮮魚介類の生産水域名の表示のガイドライン」 〔平成15年6月、水産物表示検討会) 「食品品質表示の早わかり (平成17年4月版)」 (農林水産省・ (社)日本農林規格協会)


  <生鮮魚介類> 

   〇 名称

  2000年7月の改正JAS法では、「その内容を表す一般的な名称を記載する」ことになりました。しかし、魚介類は、輸入の多様化や同じ魚でも地域や成長段階により名称が異なるなど特有の事情があることから、2001年11月以降、水産物表示検討会(水産庁)において魚介類の名称のあり方について検討を行いま した。そして、2002年11月15日に「魚介類の名称のガイドライン(中間とりまとめ(案))」を公表して、一般およぴ関連学会(日本魚類学会・日本甲殻類 学会・日本貝類学会)の意見を求めました。2003年2月28日には、一般および 関連学会からの意見と検討会での議論を踏まえて、 「魚介類の名称のガイドライン(中間とりまとめ)」を公表しました。

一般ルール: 原則として、生鮮魚介類の名称として「種名」(標準和名)(7ページ参照)を記載します。

成長名、季節名: 成長段階に応じた名称(成長名)や季節に応じた名称(季節名)がある生鮮魚介類については、それらの名称を記載できます。

   例: 成長名  ブリ  ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ (東京)
              ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ (大阪) 
     季節名  サケ→アキアジ、トキシラズ

地方名: 地域特有の名称(地方名)がある生鮮魚分類については、その地方名が誤解されることなく理解される地域においては、その地方名を記載できます。 ただし、その地方名が理解される地域以外においても販売される場合は、消費者がその魚介類の種を識別できるように地方名に標準和名を併記します。

海外漁場魚介類および外来種: 標準和名がない種もあることから、消費者に優良誤認を生じさせないような配慮が必要です(6ページ参照)。

ブランド名: ブランド名(商品名)は、JAS法に基づく魚介類の「名称」ではないので、魚介類の名称としては使用できません。

(ガイドラインには、「ブランド名を任意に商品に表示することは差支えないが、景品表示法の不当表示や生鮮食品品質表示基準の表示禁止事項*に該当するような用語を使用してはならない」とあります)
* 「食品品質表示の早わかり(平成17年4月版)」(社)日本農林規格協会などを参照

   例  

 ブランド名(商品名)  関サバ  越前ガニ  明石ダコ
 魚介類の名称(標準和名)  マサバ  ズワイガニ  マダコ



   ○ 原産地

  現状では多くの品目で水揚げ地の都道府県名が表示されていますが、魚介類の原産地表示は水域名が原則です。すなわち、「国産品にあっては生産した水域の名称(水域名)または地域名(主たる養殖場が属する都道府県名)を、輸入品にあっては原産国名を記載すること。ただし、水域名の記載が困難な場合にあっては、水揚げ港名または水揚げした港が属する都道府県名をもって水域名の記載に代えることができます。

 また、国産品にあっては水域名に水揚げした港名または水揚げした都道府県名を、輸入品にあっては原産国名に水域名を併記することもできます。

日本周辺の水域名
 @一般に知られている地名 + 沖(近海、地先、沿岸など)の水域名
   例:千葉県沖、銚子沖、三陸沖、北陸沖、山陰沖など
 A一般に知られている個別水域の名称
   例:陸奥湾、富山湾、紀伊水道、玄界灘、琵琶湖、利根川など
 B漁獲統計海区に準じた水域名
  例:北海道沖(北海道沖太平洋)、日本海北部、東シナ海、瀬戸内海など

世界の水域名
  @FAO漁獲統計海区の水域名(図参照)
  A国名 + 沖(水域、近海)の水域を表す名称(当該国の領海または排他的経済水域の海域で生産されたものに限る)
   例:ニュージーランド沖、ペルー沖など 
  B一般に知られている個別水域名
   例:地中海、黒海、黄海、オホーツク海など


        世界の漁獲水域図  (FAO漁獲統計海区)




  〈水産物加工品>

   ○ 名称(原材料の名称) *

一般ルール: 塩干物や切り身など生鮮品に近い、すなわち加工度の低い水産物加工品**については、生鮮魚介類の名称のルールに準じて原材料名を記載します。

*加工品の表示には、「内容を表す一般的名称」も必要です。
**2種類以上の原材料からなる水産物加工品については、原材料に占める重量の割合の多いものから順に名称を記載します。

 例

  水産物加工品の名称   原材料名
  かれい干物    ムシガレイ
  塩蔵さけ   サケ、食塩


ブランド名: 水産物加工品のブランド名(商品名)は、JAS法に基づく水産物加工品の名称や原材料名ではないことから、これらを名称や原材料としては使用できません(生鮮魚介類の場合と同じです。2ページ参照)。

 例 

 水産物加工品のブランド名  静岡産鰻蒲焼き  関あじ一夜干し
 水産物加工品の名称  うなぎ蒲焼き  あじ一夜干し
 原材料名  ウナギ(静岡県)  マアジ(大分沖)



  ○ 原料原産地

  国産品にあっては国産であることを、輸入品にあっては原産国名を記載します。ただし、国産品にあっては、国産であることの記載に代えて、生産した水域の名称水域名)、水揚げした港名、水揚げした港または主たる養殖場が属する都道府県名そのほか一般に知られている地名を記載することができます。 また、輸入された水産物では、原産国名に水域名を併記することができます。
(「日本周辺の水域名」および「世界の水域名」については、生鮮魚介類の原産地を参照して下さい。)



  表示禁止事項「産地名を示す表示であって、産地名の意味を誤認させるような表示」とは
            (加工食品品質表示基準[平成16年9月14日改正]より)

 加工食品には実質的な加工がなされた地域(加工地)を製品の原産地として表示することができますが、なかには、あたかも原料の原産地であるかのように加工地を強調する表示が見られ、消費者などに誤認を招くおそれがありました。たとえば、「沼津産」と強調表示された”あじの開き”があった場合、「沼津」が加工地なのか原料原産地なのか不明確であり、消費者は強調表示を見て、「沼津」が原料原産地であると誤認する可能性があります。このような強調表示が「産地名の意味を誤認させるような表示」にあたります。このような場合に、原料原産地がA国であるならば、加工地:沼津、原料原産地A国と区別して明記することなどにより、それぞれ産地名の意味が明確に分るように表示を行うことが必要です。


《例:産地を表示する場合、加工地なのか原料原産地なのか分るように明確に表示》

〈商品表面〉        〈一括表示欄〉

  
沼津産          名称    あじの開き
  
あじの開き       原材料名 
ニシマアジ(オランダ産)、食塩
             
内容量   1尾
    改善       
消費期限 平成××年××月××日
            
保存方法 
10℃以下で保存してください
            
製造者  ××株式会社 ××県×××
〈改善表示例〉
  (1)加工地、原料原産地名を明記
   あじの開き  
   
加工地:沼津
   原料原産地名:オランダ


 (2)沼津は加工地である旨を明記
   
あじの開き
    (沼津加工)


 (3)産地名に関する強調表示を行なわない
   
あじの開き    
         
   「食品品質表示の早わかり(平成17年4月版)」を改変
                     
                      

 輸入される外国産魚類の名称について

 「標準和名」のところでも述べたように、JAS法の改正とは関係なく、水産物の流通過程においても、標準和名が使用されることが望ましいことはいうまでもありません。しかしながら、実際の流通過程で標準和名が使われることは少なかったようです。これは外国産魚類の場合には特に顕著で、これまでは、業界名・流通名・商品など様々な名称が使用されていました。
 一般にはあまり知られていなかったようですが、実は、食用に輸入される外国産魚類についても日本産魚類*と同じように、多くの種に標準和名が付けられています。

*ここでいう日本産魚類は、『日本産魚類大図鑑 第2版』(益田他 編,1988)や『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊編, 2000)に掲載されているものを指します(ニジマスなどの移入種も含まれます)。たとえば、天皇海山からのみ報告されているオキカサゴやベニメヌケは日本産であって、外国産魚類には含めません。また、北部北大西洋で漁獲されたものがアイスランドやノルウェーなどから輸入されるカラフトシシャモ、中国などから輸入されるハモ・マアナゴなども同様に外国産魚類に含めません。 **「おさかな普及センター資料館年報第24号(2005年10月発行)」には、食用に輸入される外国産魚類118種および亜種の標準和名が掲載されています。
 ところで、外国産魚類の場合には、日本産魚類と異なり、種と標準和名が必ずしも1:1に対応していない場合が少なからずみうけられます。既に標準和名があるにもかかわらず、後の出版物において既存の標準和名について何ら検討されることなく、(その結果、独立して)新たに標準和名が提唱されたことがその原因です。このように、既存の標準和名についての議論がなく新標準和名が提唱された種については、現時点では、複数の標準和名が通用しているとみなさざるをえません。同一種に対して標準和名が複数通用しているという現状は、よく知られた種であればともかく、なじみのない外国産魚類では甚だ不都合です。
 年報24号では、複数の標準和名が通用していると考えられる場合には、その魚種の適切な標準和名を選択するための基礎資料も提供しています。
 詳しくは、「おさかな普及センター資料館年報第24号」を参照して下さい。

      


     標準和名

 「標準和名は、日本において学名の代わりに用いられる生物の名称であり、発音がしやすいこと、意味を容易に理解できること、記憶しやすいことなど、一般的になじみがない学名の短所を補う便利なものとして、対象とする生物やその関連分野の研究の進歩や普及、教育に大きく貢献してきた」    [日本魚類学会標準和名検討委員会(2003年3月設立)の要項より]

 よく知られているように、なじみの深い魚は一般に多くの名前を持っています。クロマグロを例にとると、以下のようになります。

学名       Thunnus thynnus
標準和名     クロマグロ
俗名(の一部)ホンマグロ、マグロ、ヨコワ(幼魚)、(地方名、成長名など)シビ(幼魚)、カキノタネ
(三浦半島浦賀での幼魚の名称「日水魚名集覧」[澁澤,1942]より)



  
標準和名が付いていない外国産魚介類の取り扱いについて(案)

 標準和名がない魚介類の名称の表示はどうすればよいのでしょうか。ここでは、標準和名が付けられるまでの暫定的な方法を紹介します。

 属にしか標準和名が付いていない場合:

 ○○属の1種として後ろに学名を付ける ○○属の1種 Ausxus

  例:ニュージーランド産のクサカリツボダイ属の魚
    ⇒クサカリツボダイ属の1種 Reudopentacros richardsoni
       (または、プセウドペンタケロス リチャードソニ)


 科にしか標準和名が付いていない場合:

 ○○科の1種として後ろに学名を付ける ○○科の1種 Bus wus

  例:White sardineと呼ばれるタイ国産のニシン科の魚
    ⇒ニシン科の1種 Escualosa thcracata
       
         
(エスクアローサ トラカータ)

 学名の表記はカタカナでもよいと思います
(学名のカタカナ表記(読み方)は上野・坂本(2005)*などを参照。)

*
上野輝彌・坂本一男.2005.新版 魚の分類の図鑑 世界の魚の種類を考える. 東海大学出版会,東京.    

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   表示の例

<代表的な魚>
 ここでは、私たちが目にする機会の多い食用魚のうち代表的なものを取上げ、標準和名と学名、その魚の表示に参考となる項目や、表示の実例について紹介します。生産量は2002年、輸入量は2003年のものです。


 タイセイヨウサバ Scomber scombrus


分 布:モロッコ〜地中海〜アイスランド、ノースカロライナ〜ラブラドル湾
生産量:769068トン
輸入量:約123400トン
輸入先:ノルウェー、イギリス、アイルランド、カナダ、デンマーク、オランダ
利用法:しめ鯖、煮魚、干物
表示の実例:
 
さば…サバ属の3種(マサバ、ゴマサバ、タイセイヨウサバ)はいずれも「さば」と呼ばれることがあります。また、まとめて「さば」と呼ばれることもあります。「さば」と表示された場合、これらのどの種を指すのかわかりません。


 ニシマアジ Trachurus trachurus   


分 布:西アフリカ〜地中海〜アイスランド   
生産量:216622トン  
輸入量:約30185トン
輸入先:オランダ、ノルウェー 、アイルランド、イギリス、ドイツ
利用法:干物
表示の実例:
 
あじ…「あじ」といえば多くの人はマアジだと思います。ところが、マアジ属魚類(マアジ、ニシマアジ、チリマアジなど)は個々の魚も、また、まとめて「あじ」と呼ばれます。さらに、ムロアジ属やメアジ属などの魚も「あじ」と呼ばれることがあります。
 
まあじ…マアジはマアジ属魚類(全13種)のうち日本から中国沿岸に分布する種です。ヨーロッパに分布するニシマアジは似ていても別種です。


 タイセイョウニシン Clupea harengus


分 布:フランス;サウスカロライナ〜グリーンランド、〜カラ海
生産量:1872013トン 輸入量:約7094トン 輸入先:ノルウェー、オランダ、イギリス、アイルランド、アイスランド
利用法:干物、身欠きニシン、マリネ、燻製、数の子
表示の実例:
 
にしん…ニシン属には北部北太平洋に分布するニシンと、北部北大西洋に分布するタイセイヨウニシンがいます。


 カラフトシシャモ Mallotus villosus


分 布:北海道、カナダ東西両岸、ノルウェー以北の環北極海
生産量:1961724トン
輸入量:19839トン
輸入先:ノルウェー、アイスランド、ロシア、カナダ、アメリカ合衆国
利用法:干物、魚卵(寿司種、珍味など)
表示の実例:
 
ししやも…シシャモは日本特産で、カラフトシシャモとは別種です。
 
かぺりん・・・Capelin はカラフトシシャモの英名です。


 ニジマス Oncorhynchus mykiss


分 布:世界中の冷水域
生産量:140万トン(養燻)
輸入量:約61000トン
輸入先:チリ、ノルウェー
利用法:刺身、寿司種、塩焼、燻製
表示の実例:
 
さけ…サケ(標準和名)はニジマスと同じサケ属の別種です。
 
ます…本州ではふつうサクラマスを、北海道ではカラフトマスを「ます」と呼ぶことが多いようです。
 
とらうと…Troutは本来、ヨーロッパのSalmo trutta(ブラウントラウト、シートラウト)のことです。日本ではRainbow trout(ニジマス)のように、Troutは「〜マス」と呼ばれます。(Q&Aシート006参照)


 タイセイヨウアカウオ Sebastes marinus


分 布:カナダ〜グリーンランド〜ノルウェー
生産量:68929トン
輸入量:約2万トン
輸入先:アイスランド、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー
利用法:塩焼、粕漬、煮魚、干物
表示の実例:
 
あかうお…「あかうお」は輸入される体色の赤いメバル属の魚(タイセイヨウアカウオ、アラスカメヌケ、オキアカウオなど)の流通上よく使用されてきた名称です。アカウオはハゼ科の一種の標準和名です。(Q&Aシート009参照)


 クロマグロ Thunnus thynnus


分 布:フィリピン〜北海道〜アラスカ〜カリフォルニア、スリナム〜カナダ〜ノルウェー〜地中海〜モロッコ
生産量:太平洋9095トン 大西洋35140トン
輸入量:約13000トン 
輸入先:スペイン、クロアチア、メキシコ、トルコ、イタリア、マルタ、アメリカ、チュニジア、リビア、カナダ、パナマ、台湾
利用法:刺身、寿司種
表示の実例:
 
ほんまぐろ…クロマグロの別名としてもっともよく使われている名称。
 
めじ…クロマグロの幼魚の名称。
 大西洋まぐろ…ふつう北大西洋に分布するクロマグロを指します。
  (注:タイセイヨウマグロ(標準和名)は西部大西洋のみに分布する小型のマグロで、日本へは輸入されていません。)


 マイワシ Sardinops melanostictus


分 布:広東省〜山東省、台湾、朝鮮半島、九州〜サハリン
生産量:236602トン
輸入量:統計資料なし
輸入先:中国
利用法:刺身、塩焼、煮魚、干物、酢の物
表示の実例:
 
いわし…ニシン科(マイワシ、ウルメイワシなど)やカタクチイワシ科(カタクチイワシなど)の魚を一般に「いわし」と呼んでいます。これらの魚をまとめて「いわし」ということもあります。


 ブリ Seriola quinqueradiata


分 布:北海道南部〜九州、朝鮮半島
生産量:107725トン(国内養殖)、51194トン(国内漁獲、ブリ類として)
輸入量:約445トン
輸入先:韓国、台湾
利用法:刺身、寿司種、焼魚、煮付け
表示の実例:
 
はまち…地方名の1つ(大阪府、兵庫県、広島県、山口県、高知県など)
 
わらさ、いなだ…関東の地方名(成長名)、体長約40cm(いなだ)、60cm(わらさ)。


 マジェランアイナメ 
   Dissostichus eleginoides

                   
分 布:チリ〜アルゼンチン沿岸、南極周辺海域
生産量:37904トン
輸入量:9965トン
輸入先:フランス、中国、チリ、オーストラリア、ウルグアイ、アルゼンチン
利用法:煮魚、焼魚
表示の実例:
 
銀ムツ…かつてよく使われた名称。
 
メロ…今でも見かける名称。漁獲の多いチリではハタ類を指します。


 メカジキ Xiphias gladius


分 布:世界の温暖海域
生産量:106749トン       
輸入量:7298トン
輸入先:台湾、中国、オーストラリア、シンガポール、フィリピン
利用法:焼魚、刺身、粕漬、フライ
表示め実例:
 
かじきまぐろ…マグロ類に近いことをアピールした名称と思われます。


 ウナギ Anguilla japonica


分 布:北海道南部〜九州、朝鮮半島、台湾、中国沿岸
生産量:222445トン(養殖)
輸入量:66364トン(他のウナギ類も含む)
輸入先:中国、台湾 
利用法:蒲焼き、白焼き、酢の物、佃煮、茶碗蒸し
表示の実例:
 
にほんうなぎ…よく使われる名称ですが、ウナギが標準和名です。
 
ジャポニカ種…流通業界で使われています(ふつうヨーロッパウナギAnguilla anguillaをアンギラ種といって区別するときに使われます)。学名に“種”を付けたものです。


 シルバー  Seriolella punctata


分 布:オーストラリア南東部、タスマニア、ニュージーランド
生産量:9175トン
輸入量:統計資料なし         
輸入先:ニュージーランド  
利用法:焼魚、煮魚   
表示の実例:
 
ぎんひらす…かつてよく使われた名称。
 
めだい…メダイは日本を含む北西太平洋に分布するイボダイ科の別種です。


 マハタ  Epinephelus septemfasciatus


分 布:北海道南部〜九州、東シナ海
生産量:統計資料なし
輸入量:統計資科なし
利用法:刺身、焼魚、煮魚、鍋物
表示の実例:
 
はた…ハタ科ハタ亜科の魚はいずれも「はた」と呼ばれることがあります。また、まとめて「はた」と呼ばれることもあります。
 
あら…ハタ科の別種であるアラの標準和名。福岡県や長崎県ではハタ類の地方名。
 
くえ…ハタ科の別種であるクエの標準和名。高知県ではハタ類の地方名。


 ヤナギムシガレイ
    Tanakius kitaharai


分 布:北海道南部〜九州、東シナ海、渤海
生産量:統計資料なし
輸入量:統計資料なし
利用法:干物
表示の実例:
 
やなぎがれい…主に関東での地方名。
 
ささがれい…主に関西での地方名。
 
わかさがれい…若狭での地方名、またはムシガレイなどを含めた若狭での地方名。


 ヨコフエダイ 
   Lutjanus malabaricus


分 布:本州中部〜インド・西太平洋の温暖海域
生産量:統計資科なし
輸入量:統計資科なし
輸入先:インド、東南アジア
利用法:焼魚、寿司種,
表示の例: 
 
あかまつだい…「あかまつだい」は輸入される体色の赤いフエダイ科の魚(ヨコフエダイ、セダカタカサゴ、センネンダイなど)の流通上よく使用される名称です。

おさかな普及センター資料館.2005.輸入される外国産魚類の標準和名。おさかな普及センター資料館年報,(24):11-22.
水産庁加工流通課.2004.水産貿易統計 平成14年.
多紀保彦・奥谷喬司・近江 卓(監).1999、食材魚貝大百科.平凡社,東京.
東京都.2004.平成15年 東京都中央卸売市場年報 水産物編.
仲坊徹次(編).2000.日本産魚類検索 全種の同定 第2版.東海大学出版会,東京.
農林水産省統計情報部.2004.平成14年 漁業・養殖業生産統計年報.
FA0. 2004. RAO Yearbook Fishery Statistics Capture Production. FAO Fshery Series (66).

 



   <貝類>

  貝類の名称も標準和名のほかに、流通名や地方名などが使われることがあり ます。これまでは慣習として使われていた名称でも、今後問題となる可能性があるので、標準和名を使うことが望まれます。

標準和名と通称が同じ場合

 混乱が起こりにくいと思われます。
 サザエ、トコブシ、ホタテガイ、アサリ
 
  サザエ     トコブシ     ホタテガイ   アサリ

標準和名が複数の種を含む通称(総称)と同じ場合
 ハマグリやアカガイ、マテガイは標準和名なので、これらの名称をほかの貝に対して使うことはできません。
  はまぐり(ハマグリ:チョウセンハマグリ、シナハマグリ)
  あかがい(アカガイ:サトウガイ、サルボウ)
  まてがい(マテガイ:オオマテ、アカマテ、エゾマテ)
 
    ハマグリ    アカガイ     マテガイ     イヨスダレ


  アケガイ   ハマグリ (日本産)     シナハマグリ

複数の種が同じ通称で呼ばれている場合
 近縁な種類とよく似ていて区別が困難、近縁な種と価格が同じ、近縁な種類が多いなどの理由から通称が使われていると思われます。種を特定し、標準和名で表示することが望まれます。
  つぶがい(エゾボラ、チヂミエゾボラ、エゾボラモドキ、カラフトエゾボラ)
  あわび(クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ)
  しじみ(ヤマトシジミ、マシジミ、タイワンシジミ)
   
  エゾボラ    クロアワビ   ヤマトシジミ  ロシアシジミ

標準和名よ り地方名がよく使われている場合
 食用の貝には、標準和名以外にそれぞれの地方での名称(地方名)が多くあります。地方名であっても種の特定ができれば(その地方で混乱がなければ)、その地方でのみ使うことができます(2ページ参照)。
   バテイラ(しったか:千葉県、静岡県、伊豆諸島)、バイ (黒バイ:鳥取県、和歌山県)、タイラギ(平貝:東京湾、三重県、岡山県、徳島県、長崎県、福岡県)、ウバガイ(北寄貝:北海道、 東北地方)、ミルクイ(みる貝:千葉県、神奈川県、広島県、香川県)、サラガイ(白貝:北海道、富山)、ウチムラサキ(大あさり: 千葉県、愛知県、三重県)
         
        バテイラ         バイ

代用の貝の名称
 代用の貝に、代用される貝の名称が使われることがありますが、名称の“代用”は認められません。
   アケガイ(アサリの代用)、アワビモドキ(アワビ類)、アズマニシキ(ホタテガイ)
 
   
   アワビモドキ        アズマニシキ(ホタテと比べてかなり小さい)

外国産貝類の和名
 貝類は外国産のものであっても、和名が付けられている場合が多くあります。
また、日本産のものによく似ていても別種である場合が多いので、専門家に調べてもらう必要があります。
  ヨーロッパ : ヨーロッパエゾバイ、ムカシエゾボラ
  アメリカ   : アワビモドキ、アメリカイタヤガイ、アメリカウバガイ
  アフリカ   : ハッカイボラ、ナツメヤシガイ
  アジア    : ミスハマグリ、ベンガルバイ、ゾウゲバイ
  オセアニア : アカアワビ、ビクトリアアワビ、モエギイガイ

       
 アカアワビ   アメリカイタヤガイ  モエギイガイ


問題となった事例
 トルコ産の
アカニシ(アクキガイ科)をサザエ(サザエ科)として問題になったことがあります。

     
         アカニシ

R.T.アポット・S.P.ダンス.1985.世界海産貝類大図鑑.平凡社,東京.  奥谷喬司(編).2000.日本近海産貝類図鑑.東海大学出版会,東京.  川名 興(編).1988.日本貝類方言集一民族・分布・由来−。未來社,東京.  多紀保彦・奥谷喬司・近江 卓(監).1999.食材魚貝大百科 第2巻 貝類+魚.平凡社,東京.


 
次回の展示テーマ
 
       
タラ類   2006年1月5日〜3月30日

 タラ類には、すり身や“たらこ”で有名なスケトウダラ、マダラなど漁業上重要な魚が含まれています。この仲間は白身で加工しやすいこともあり、スケトウダラ・マダラのほか、メルルーサ・ホキ・シロイトダラなど多くの種類が輸入されています。展示では、食用魚を中心に様々なタラ類を紹介します。

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