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おさかな情報 No.30  2005年4月


2005年度 第1回展示テーマ   

      イワシ類
 

  カルフォルニア・ピルチャード  

    
      マイワシ
               

 
     コノシロ

        カタクチイワシ

   
        サッパ


  
        キビナゴ

              目

       

 はじめに     ・・・・・・・・ 1

 「マイワシの資源の変動について」・5

 イワシ類とは   ・・・・・・・・ 2

 築地市場に入荷するイワシ類 ・・ 6

 水産上重要なイワシ類 ・・ 4

 次回の展示テーマ ・・・・・・・・ 12 



  はじめに

 私たちになじみの深いマイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ・ニシン・サッパキビナゴなどはニシン目のメンバーですニシン目にはこのように多くの重要な食用魚が含まれています.2002年の世界の漁獲量9300万トンのうち(養殖を含めると全生産量は13300万トン)2300万トンはこの仲間でした。
日本劃よ溝面漁業の漁獲量413万トン(淡水の漁業や養殖を含めると588万トン)のうち約60万トンがニシン目魚類でした。
これらの魚は沖合の表層を泳ぐため、背は青く、腹は銀白色をしています。この仲間は最近、DHAEPAを多く含む食品としても注目されています。
築地市場には、さまざまなニシン目魚類が日本各地から入荷します。近年、輸入量も増加し、小売店でも外国産をふつうに見かけるようになりました。
展示では、市場でよく見られる穫類を中心に、イワシ類としてこれらの魚を標本とパネルで紹介します。


 イワシ類とは

 ニシン目魚類をここではイワシ類として紹介します。
一般に体は細長く、側扁(左右に平たい)しています。背鰭は1つで、胸鰭の位置は低く、腹の縁近くにあります。ほとんどの種類は、背側が青く、腹側が銀白色です。仔魚は半透明で、「しらす」と呼ばれます。
主に暖海の沿岸から沖合の表層で群れを作つて生活し、主としてプランクトンを食べています。多くの種類は体長550cmですが、オキイワシ類は1mを超えます。
この仲間にはよく知られているように多くの重要な食用魚が含まれます。
次のように、現在、ニシン目魚類は世界で2亜目4科約357種が知られています。


デシティケプス亜目
デシティケプス科
     

頭蓋骨の表面は小さい突起で覆われています。
ナイジェリアとカメルーン沿岸の河川の淡水域に1種。


ニシン亜目
ニシン科
       

ロは体の先端にあります。
世界で約215種(日本に17種)、世界中の海域。淡水域で生活するものや遡上回遊(産卵のために川を遡る回遊)をするものもいます。


カタクチイワシ科
       

(ふん)が突出し、下顎が頭部の腹面にあります。これがカタクチ(片口)の由来とされています。
世界で139種(日本に9種)、大西洋・インド洋・太平洋、ときに淡水域に生息しています。


オキイワシ科
       

口は大きく、両顎に大きな犬歯状の歯があります。背鰭は体の後方に、腹鰭は体のほぼ中央にあります。
世界に2種(日本に1種)、インド洋・西部太平洋海域に分布します。





 ○ 水産上重要なイワシ類

  イワシ類はサバ類・タラ類・アジ類などととも世界的に重要な食用魚で2002年の漁獲量は約2300万トンでした。こオ鶴ま世界の全生産量13300万トンの約17%にあたります。養殖を除くと(9300万トン)、約25%はイワシ類が占めます。
ニシン属、マイワシ属、サッパ属、カタクチイワシ属、Sardina 属、Sprattus属などの多くの種類が漁業の対象となっています。漁獲量が多く重要な種類のうち、主なものは以下のとおりです(和名または英名、学名、2002年の漁獲量)

1.
タイセイヨウニシン   Clupea harengus        187(万トン)
2.
ニシン          Clupea pallasii          32
3.
サッパ属1種       Sardinella longiceps     41
4.
サッパ属の1種     Sardinella aurita        44
5.
ベンチインクニシン   Strangomera bentincki     35



1.ガルフ・メンヘイドゥン  Brevoortia patronus     58
2.ヨーロピアン・スプラト  Sprattus sprattus        62



1.マイワシ         Sardinops melanostictus   24
2.マイワシ属の1種    Sardinops caeruleus       72
3.マイワシ属の1種    Sardinops ocellatus      26
4.ヨーロピアン・ピルチャード Sardina pilchardus    109




1.カタクチイワシ        Engraulis japonicus    185
2.
カタクチイワシ属の1種     Engraulis encrasicolus   66
3.
カタクチイワシ属の1     Engraulis ringens      970
4.
カタクチイワシ属の1種    Engraulis capensis      25
5.
パシアイツク・アンチョベータ Cetengraulis mysticetus   20



日本近海での漁獲量は597,288トン(2002)で、種ごとの内訳は以下のとおり
です(詳しくは6頁以降を参照して下さい)
カタクチイワシ  443,158トン
マイワシ       50,313
ウルメイワシ    26,355
コノシロ       13,402
ニシン         1,366
「しらす」   62,694(マイワシ・カ夕クチイワシ・ウルメイワシを含む)
これらのほかにも、キビナゴ・サッパ・エツなどが漁獲されています。

参考資料
上野輝彌・坂本一男.l999.魚の分類の図鑑.東海大学出版会,東京.
農林水産省統計情報部2003.平成13年漁業・養殖業生産統計年報.
望月賢二.1998.ニシン目.中坊徽次・望月賢二().日本動物大百科魚類.平凡社,東京.
FAO. 2004. FAO Yearbook Fishery Statistics Capture Production. FAO Fisheries Series (66).
FAO. 2004. FAO Yearbook Fishery Statistics Aqtlaculture Productio. FAO Fisheries Series (67).




  マイワシ資源の変動について

 1988
年には約450万トンあった漁獲量が2003年には約5万トンしかな
かったというように、マイワシ資源は大きく変動します。最近では、これ
は地球規模での気候変動と関係があると考えられています。
すなわち、「資源水準が高まる時期(:漁獲が多くなります)には、冬季、
アラスカ湾に中心を持つアリューシャン低気圧の活動が強く、夏期の
親潮の南下が強まり、併せて黒潮の続流域の表層水温が低下し、海水の鉛
直混合が大きくなって混合層の深化が起こり、移行域(:黒潮と親潮の
境目付近のこと)での発育段階に応じた適当なプランクトンの供給が多く
なるとともに、生息に適した海域が拡大します。さらに、暖海性大型回遊
魚のカツオやビンナガの北上が遅れ、外敵との遭遇が減少すると推定され
ています。これらのことが連続的に起こることにより、マイワシ稚魚期か
ら幼魚期にかけての生き残りが極めて高ぐなったと考えられ」ています。

 一方、「資源水準が低下する時期には(:漁獲が少なくなります)、高
なる時期とは逆の現象が起こり、稚魚期から幼魚期の生き残りが悪くな
る」と考えられています(農林水産省農林水産技術会議,2004)





  マイワシの漁獲量の変化(図説水産白書(平成l4年度版)より)


    
資源が高水準(豊漁になる時):アリューシャン低気圧が強い場合



    資源が低水準(不漁になる時):アリューシヤン低気圧が弱い場合

海洋環境とマイワシ資源変動の関係(農林水産省農林水産技術会議(2004)を改変)

参考資料 
農林水産省農林水産技術会議.2004.海洋生態系と水産資源持続的水産資源管理の高度化を目指して.農林水産研究開発レポートNo.9.
 




 築地市場に入荷するイワシ類
 イワシ類には、水産上重要な魚が多く含まれています。世界では約356種が
知られ、ほとんどの種が利用されています.日本近海には26種が分布します.
数がまとまらず流通しないものも多いので、小売店などではこれほど多くのイ
ワシ類を見かけません。築地市場には国産のもののほか、海外から輸入される
イワシ類もあります。この10年間で、まれにしか入荷しない魚も含め、14種が
確認されました()。ここでは、築地市場に入荷する主なイワシ類を紹介し
ます。なお、生産量と輸入量は2002年、築地市場入荷量は2003年のものです。


  築地市場に入荷したイワシ類  ○…多い △…少ない ×…まれ

 カタクチイワシ科

 サッパ属
 カタクチイワシ属   X サッバ   国産・生冷
  ○ カタクチイワシ   国産・生加  マイワシ属
 エツ属   ○ マイワシ  国産・生冷
  X エツ  国産・生鮮   △ カリフォルニア・ピルチヤード  輸入・生冷

 ニシン科

  X オーストラリアン・ピルチャード

 輸入・生鮮

 ヒラ属

 Sardina

  X ヒラ

 国産・生鮮

  △ ヨー口ピアン・ピルチャード

 輸入・加工

 ニシン属

 キビナゴ属

  ○ タイセイヨウニシン

 輸入・冷凍

  ○ キピナゴ

 国産・生鮮

  ○ ニシン

 国輸・生冷

 Tenualosa

 ウルメイワシ属

  X トリシェード

 輸入・生鮮

  ○ ウルメイワシ

 国産・生鮮

 コノシ口属

  ○ コノシロ

 国産・生鮮

--------------------------------------------------------------------
             国輸ー国産・輸入、生冷ー生鮮・冷凍、生加一生鮮・加工品





  エツ類
                   
分布 : 有明海
大きさ : 体長25cm
漁法  : 流し刺網
生産地 : 佐賀県、福岡県
国内生産・輸入・入荷統計資料なし

利用法 :  刺身、煮付け、蒲焼き
備考 : カタクチイワシ科の魚ですが、体は細長く、臀鰭と尾鰭は連続し胸鰭に長い鰭条があるなど、一見するとイワシ類とは思えない体形をしています。
有明海と有明海に注ぐ河川にしか分布しません。このため、地元以外ではあまりなじみのない魚です。佐賀県などではワラスボやムツゴロウ(両方ともハゼ科)などとともに有明海名物の1つとなっています。築地市場にはほとんど入荷しません。
中国沿岸には2(世界で13)のエツ属の魚がいます。中国では需要が高く、缶詰も作られています。
                


  ウルメイワシ
 
分布 : 本州から九州、オーストラリア南部、アフリカ東部、南北アメリカの温暖海域
大きさ : 体長25cm
漁法  : 旋網(まきあみ)、定置網
生産地 : 宮崎県、島根県、長崎県、高知県、鹿児島県
生産量:
26355トン
輸入量: 統計資料なし
入荷量: 76トン
利用法 : 刺身、塩焼、干物
備考 : 沿岸からやや沖合の海面近くを泳ぎ、主に動物性のプランクトンを食ベます.産卵期は11月〜6月と長いですが、南で早く、北に行くほど遅くなります。浮遊性の卵を500015000産みます。1年で体長13cm2年でl7cm3年で20cmに成長します。
名前の由来は眼が大きく、潤んで見えることからといわれています。
    


  カタクチイワシ
 

分布 : 日本各地、朝鮮半島、中園、フィリピン
大きさ : 体長11cm
地方名ひこ、しこ、せぐろ
漁法  : 定置網、旋網(まきあみ)、しらす網
生産地 : 千葉県、茨城県、石川県、長崎県、三重県
生産量: 443158卜ン(国内)l173196トン(中国)236315トン(韓国)
輸入量 : 統計資料なし

入荷量 :  525トン
利用法 : 刺身、目ざし、煮干し(若魚は”いりこ”)、缶詰、田作り稚魚は釜揚げ、しらす干し、ちりめんじやこ、たたみいわし
備 考: 沿岸から沖合の海|面付近を泳いでいます。泳ぎながらロを大きく開きプランクトンをこしとって食ベます。産卵期は周年にわたります。1.5mm前後の浮遊性の卵を60002600粒津みます。
1
年で11cm2年で13cmに成長します。寿命は2年前後と考えられています。
「釜揚げ」は稚魚を茹でたもの、それをやや干して生乾きにしたものが「しらす干し」、「ちりめんじゃこ」はさらに干したもの。なお、「しらす」や「しらす干しし」には、カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシが含まれています。
    



  キビナゴ
   
分布 : 関東地方以南、インド・西太平洋の温暖海域 
大きさ : 体長9.5cm
漁法  : 地曳網、定置網、しらす網
生産地 : 九州、和歌山県 
生産量・
輸入量 ・入荷量 : 統計資料なし 
利用法 : 刺身、塩焼、干物、フライ、煮付け 
備考 :沿岸から沖合の表層を泳いでいます。主に動物性のプランクトンを食べます。産卵期は58月で、1.2mm前後の粘着性の卵を、沿岸の岩や海藻に産みつけます。1年で成熟し、寿命は2年と考えられています。
鹿児島県では名物の1つとなっています。釣餌としても重要です。

    



  コノシロ
   
分布 : 宮城県・福井県から九州、朝鮮半島、渤海、黄海、東シナ海
大きさ : 体長25cm
地方名 :  こはだ、しんこ(新子)、つなし
漁法  : 刺網、旋網、投網 
生産地 : 熊本県、大阪府、愛知県、佐賀県、広島県
生産量:
13402トン
輸入量 : 
統計資料なし
入荷量 : 889トン

利用法 : 鮨、酢漬け、刺身、唐揚げ、塩焼
備考 : 沿岸や内湾の表層から中層を泳いでいます。主にプランクトンを食べます。産卵期は38月で、数万〜十数万粒の浮遊性の卵を産みます。
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年で10cm2年で15cm3年で18cm6年で22cmに成長します。寿命は67年。
築地市場には、秋になると体長5cmほどのコノシロが入荷し始めます。これは「新子(しんこ)」と呼ばれ、寿司ダネとして珍重されます。最近、中国などからの輸入もあります。

コノシロは「娘()の代(しろ)」で、娘の身替わりにしたといわれますが、「飯の代り」とする説もあります。コハダは「小鰭(はた、ひれ)」、つまり小さい鰭 もしくは小さい鱗(はた、うろこ)からといわれます。

出世魚の1つでもあり、成長にともなって「しんこ→こはだ→ながつみ→このしろ」と名前が変わります。
    




  サッパ
     

分布 : 千葉県から九州、台湾
大きさ : 体長15cm
地方名 : ままかり
漁法  : 定置網、あんこう網、投網
生産地 : 岡山県(酢漬けは”ままかり”と呼ばれ、岡山の名物)
生産量:
輸入量 :入荷量 : 統計資料なし
利用法 : 酢漬け、干物
備考 : 内湾や河口にすみ、泳ぎながらプランクトンを食べます。産卵期は18月で、湾奥の河口付近や岸近くで産卵します。東京湾でもふつうに見られますが関東地方では食べる習慣がないためか漁獲されません。
流通しているものは酢漬けで、鮮魚はほとんど見かけません。
    



  タイセイヨウニシン
   
分布 : フランス北部からアイスランド、スピッツベルゲン、グリーンランド、カナダからサウスカロライナ
大きさ : 体長40cm
漁法  : 刺網、底曳網、旋綱
生産地 : ノルウェー、アイスランド、ロシア、フィンランド
生産量: 1872013トン
輸入量 :
 約6816トン
入荷量 :  562トン(冷凍ニシンとして)

利用法 :  塩焼、干物、燻製、数の子
備考 : ニシンによく似ていて、外見での区別は困難です。違いは脊稚骨の数(タイセイヨウニンン_5557:ニシン_5255)、産卵期(周年:春先)、産卵場所(水深25200mの海底:水深020mの海藻)などです。
水深200mまでの沿岸から沖合にすみ、泳ぎながらプランクトンを食べます。産卵は周年行なわれますが、盛期は秋から春で、群れによって異なります。雌は2万〜5万粒の粘着性の卵を岩や海藻等に産みつけます。 
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年で体長12cm23年で20cmに成長します。寿命は2025年。
ヨーロッパ各国から冷凍で輸入され、ニシンと同じように利用されています。
「数の子」はニシンのものと比べて軟らかく、評価は低いようです。ヨーロッパ北部の国々では重要な食用魚として古くから利用されています。
    



  ニシン
   
分布 : 白海からオビ川河口、朝鮮半島・茨城県以北、ベーリング海、バハカリフオルニア
大きさ : 体長33cm
漁法  : 刺網、定置網、底曳網
生産地 : 北海道、宮城県、岩手県 
生産量: 1366トン(国内)320298トン(世界)
輸入量 : 42323トン
入荷量 :  318トン

利用法 : 刺身、塩焼、煮物、蒲焼き、昆布巻、身欠きニシン、マリネ、燻製、卵は「数の子」や「子持ち昆布」
備考 : 沿岸からやや沖合を回遊し、小型の甲殻類や小魚などを食べます。産卵期は、北海道のオホーツク海沿岸では36月です。岸近くの海藻に雌が卵を産みつけ、雄がいっせいに精子をかけます。このためニシンの数が多いところでは、海が白く濁ります。これを「群来(くき)」と呼びます。
1
年で体長15cm2年で22cm3年で26cmに成長します。寿命は12年以上。

かって北海道沿岸には、ニシンの大群が押し寄せ、産卵していました。これを捕るニシン漁は繁栄し、ニシン漁をもとに建てられた立派な屋敷は「ニシン御殿」と呼ばれました。1897年には97万トンも漁獲がありましたが、その後漁獲量は減少して、ニシン漁も衰退してしまいました。北海道沿岸に来遊するニシンが減った原因は、よくわかっていません。
1990
年以降も2000トン前後の低い水準が続いています。このため稚魚の放流や漁獲制限が行なわれています。

国産のニシンは主に鮮魚で売られています。一般に流通しているニシンの大半はロシア、カナダ、アメリカからの冷凍の輸入品です。

たくさんの漁獲があったころ、ニシンは日々の糧(かて)となったことから、「かつ」とも呼ばれました。このことから、ニシンの卵を「かずの子」と呼ぶようになったといわれます。
    




  マイワシ
      
分布 : オホーツク海、日本海、北海道から九州、東シナ海
大きさ : 体長24cm
地方名 : いわし、ひら、ひらご、ななつぼし、おおば、ちゅうば、こば
漁法  : 旋網、定置網、しらす網
生産地 : 茨城県、千葉県、福島県、高知県、青森県
生産量: 50313トン(国内)186281トン(中国)
輸入量 :  751トン
入荷量 :  3962トン

利用法 :  刺身、塩焼、干物、甘露煮、糠漬け、マリネ、つみれ、缶詰
     稚魚はカタクチイワシと同様(カタクチイワシ参照)
備考 : 内湾からやや沖合を泳いでいます。主に海面近くにいますが、水深100mぐらいまで潜ることもあります。泳ぎながら口を大きく開け、プランクトンをこしとって食べます。
産卵期は126月と長いですが、太平洋側では23月、日本海側では36月に多くみられます。130万粒の浮遊性の卵を数回に分けて産卵します。1年体長で14cm2年で20cm3年で21cmこ成長します。寿命は6年。

産地によって体形や太り方が異なることがあります。一般に瀬戸内海や若狭湾など、内湾のものは太短く、外房など外海のものは細長くなります。これは、海流や餌の違いが影響していると考えられています。

古くから節分には柊(ひいらぎ)の枝に"いわし"の頭を刺して門口に立てる風習があります。これは、鬼が魚の臭気と棘のある木を嫌うからといわれています。

江戸時代には、タンパク源として食べられていたほか、農作物の肥料としても重要でした。当時、国内でもっとも生産量が多かつたのは銚子や九十九里浜で、その漁法は地引き網でした。干鰯(ほしか)や〆粕(しめかす)は「金肥(きんぴ)」と呼ばれ、遠く関西にも運ばれました。

1990
年代以降、生産量は低いままです。そのため庶民の魚であつたマイワシも、今では高級魚です。代用として外国から同じマイワシ属などのイワシ類が輸入されるようになりました。
    





  輸入のイワシ類
   
 
  ヨーロピアン・ピルチャード

       
        カタクチイワシの一種
        Engraulis encrasicolus

             
               サッパの一種
               Sardinella aurita

備考 : 日本に輸入されている主なイワシ類は、ニシン類、マイワシ類、カ夕クチイワシ類、サッパ類、これらの稚魚である「しらす」、その他のイワシ類です。これらのイワシ類は、ほとんどが国産の近縁種の代用として輸入されています。

カリフォルニアやチリ、南アフリカからはマイワシ属のものが、ヨーロッパからはマイワシ属によく似たヨーロピアン・ピルチヤードが輸入されています。
2003
年の輸入量は31135トン(カリフォルニア29129トン、チリ23トン、南アフリカ1983トン、ヨーロピアン・ピルチヤード74トン)でした。これらの魚は、体形や斑紋などがマイワシとよく似ています。
干物や惣菜用などに加工されています。主に旋網、定置網などで漁獲されます。2002年の世界の漁獲量はヨーロピアン・ピルチャード 1089836トン、カリフォルニア 722071トン、チリ 27953トン、南アフリカ 264886トンでした。

カタクチイワシ類は世界に139(カタクチイワシ属は8)います。マイワシ同様、互いによく似ていて外見で区別するのが困難なものもあります。ヨーロッパでは、カタクチイワシの一種 Engraulis encrasicolus を塩漬にし熟成したもの珍重されます。アンチョビと呼ばれ、日本でも缶詰が売られています。主な産地は地中海沿岸で、66万トンの漁獲がありました。チリ沿岸に分布する種類は970万トンもの漁獲がありましたが、ほとんどは肥料などにされます。

サッパ類も加工品などの原料として輸入されています。世界に21種いて、大西洋沿岸では重要な魚です。世界の漁獲は2101268トンです。

「しらす」の主な輸入先は東南アジアです。カ夕クチイワシ科の稚魚が多く、複数の種が含まれているようです。日本のカタクチイワシの「しらす」とは、色素の配列などが異なるだけで、一見しただけでは区別が困難です。
その他、中国や東南アジアから、日本に同じグループ()のいないイワシ類が輸入されています。これらは主に、珍味などに加工されています。


参考資料
おさかな普及センター資料館.2002.Q&Aシート010 チリメンジャコとシラス干し. 落合明・田中 克.l998.新版魚類学() 改訂版.恒星社厚生閣,東京. 坂本一男.2003.コハダ.p.158-164.大場秀章ほか.東大講座すしネタの自然史.NHK出版.東京. 水産庁加工流通課、2004.水産貿易統計平成14. 東京都.2003.平成15年 東京都中央卸売市場年報 水産物編. 中坊撒次().2000.日本産魚類検索 全種の同定 第二版.東海大学出版会,東京. 農林水産省統計情報部.2003.平成13年漁業・養殖業生産統計年報. 平本紀久夫.1996.イワシの自然誌.中央公論社,東京. 山田梅芳ほか.1986.東シナ海・黄海のさかな水産庁西海区水産研究所,長崎.
FAO. 2004 FAO Yearbook Fishery Statistics Capture Production. FAO Fishery Series(66).
 Whitehead, P.J.P. 1985. Clupeoid Fishes of the world. FAO Fish.Synop.,(125)7.

    


次回の展示テーマ   

  「魚は何種類いるのか」

   20057月1日〜930

  現在、世界中で約25000種、日本とその周辺海域からは約3900種の魚が報告されています。
いうまでもなく魚は重要なタンパク源の1つですが、私たちは何種類ぐらいの魚を食料として利用しているのでしょうか。展示では、食用魚の種類数や市場で見られる魚の種類について、パネルと標本で紹介します。