29

おさかな情報 No.29  2005年4月

2005年度 第1回展示テーマ            アジ類

 

          シマアジ
                    イトヒキアジ
          マアジ

   
      カンパチ

  
            カスミアジ

              目        
 はじめに   ・・・・・・・・ 1  「物に寄り添う魚たち」 ・・・・・・ 5
 アジ類とは  ・・・・・・・・ 2  築地市場に入荷するアジ類 ・・ 6
 「アジ」の由来」 ・・・・・・ 4  次回の展示テーマ ・・・・・・・・ 12 


  はじめに

 アジ類には、マアジ・シマアジ・ムロアジ・ブリ・カンパチ・ヒラマサなど、私たちになじみの深い魚が多く含まれています。日本ではサバ類、イワシ類、サケ類、カレイ類、タイ類などとともに重要な食用魚で、2002年(平成14 年)には約29万トン漁獲されました。
 ブリ・カンパチ・ヒラマサ・マアジ・シマアジなどでは養殖も盛んに行われています。その生産量はおよそ17万トン (2002年)もあります。
 築地市場には、さまざまなアジ類が日本各地から入荷します。近年、輸入も増加し、小売店でも外国産の種類もふつうに見かけるようになりました。
 展示では,市場でよく見られる種類を中心に、アジ類を標本とパネルで紹介します 。

 アジ類とは

 アジ類とはスズキ目スズキ亜目のアジ科の魚類をさします。この仲間は温帯から熱帯海域に分布し、世界中で32属約140種が知られています。日本周辺に は23属56種が分布しています。沿岸からやや沖合の中底層にすんでいます。動 物プランクトンや小魚、底生動物を食べています。

 
アジ科魚類は次のような特徴を持っています:
・体はふつう側扁(そくへん:左右に平たい)しています。
・体形は様々で、ムロアジ類やツムブリのように体が紡錘形で低いものから、ギンガメアジ類やヨロイアジ類などのように体が薄く高いものまであります。
    
    側扁            オアカムロ
                    
                   イトヒキアジ
 
・ほとんどの種類は円鱗におおわれます。
・多くの種類では側線上の鱗の一部(マアジなど種類によっては全長にわたって)は、ふつうゼイゴやゼンゴと呼ばれる稜鱗(りようりん:棘(きよく、とげ)のある鱗)に変形しています。ツムブリやブリモドキ、ブリ類(ブ リ・カンパチ・ヒラマサほか)などには稜鱗はありません。
・臀鰭(しりびれ)の前部にはふつう3棘がありますが、前の2本(まれに1本)は後ろの臀鰭条(きじよう)とは離れています。 ・尾鰭は広く二叉(にさ:2つに分かれている)しています。
・尾柄部(びへいぶ 2本の棘  マアジ 背鰭・臀鰭と尾鰭の間)は細くなっています。
  
    マアジ                           ブリ
 シマアジ

 
・体長は15cmから2mの範囲内にあります。

 
 ミヤカミヒラアジ(15cm)    カンパチ(2m)

・大型になる種類(ギンガメアジやカスミアジなど)の一部はシガテラ毒を持つので注意が必要です(12頁を参照してください)。


○水産上重要なアジ類

 アジ類は世界的にもイワシ類、サバ類、タラ類などとともに重要な食用魚です。マアジ属、ムロアジ属,シマアジ属、ギンガメアジ属、コバンアジ属、ブ リ属、ツムブリ属、メアジ属などの多くの種類が漁業の対象となっています。 これらの中で漁獲量が多く、重要なのはマアジ属(14種)のもので、ほとんど全ての種類が利用されています。アジ科で特に漁獲量が多い種類は次のマアジ属の4種です。

 1.チリマアジ(ペルーからチリ沖)
 2.ニシマアジ(ノルウェーから地中海までのヨーロッパ海域)
 3.マアジ(日本各地、朝鮮半島、東シナ海)
 4.Trachurus Capensin(南アフリカ周辺海域)

  

日本近海で重要なアジ類は以下のものです。

 ブリ属:    ブリ、ヒラマサ、カンパチ
 マアジ属:  マアジ
 ムロアジ属: クサヤモロ、アカアジ、オアカムロ、マルアジ、ムロアジ
 カイワリ属:  カイワリ
 シマアジ属: シマアジ
 メアジ属:   メアジ

 2002年のアジ類の漁獲量は約29万トン(マアジ196044トン、ムロアジ類 41831トン、ブリ類51194トン)、そして養殖の生産量はおよそ17万トン(ブ リ類162496トン、マアジ3462トン、シマアジ2931トン)でした(詳しくは6 〜11頁を参照)。

参考資料
農林水産省統計晴報部.2003.平成13年漁業・養殖業生産統計年報
中坊徹次.1998、アジ科.中坊徹次・望月賢二(編).日本動物大百科魚類.平凡社.東京



    下記「あじ」の由来は古字の為、原文を画像で貼り付けました。 




    物に寄り添う魚たち  

 ブリの若魚や成魚は沿岸や沖合で生活 しますが、体長3pぐらいの時には沿岸 から流れ出した流れ藻(春、沿岸の藻場に生えているホンダワラ類などの海藻がちぎれ、海産を漂っているもの)につい て、黒潮や対馬暖流に乗って北上します。 流れ藻につく稚魚はモジャコと呼ばれ、養 殖の種苗として大量に漁獲されます。
 ところで、魚類にはブリの稚魚のように流木、筏(いかだ)、流れ藻などの漂流物に集まるものがかなりいます。また、ジンべエザメ・オニイト マキエイ・イワシクジラなどの大型でゆっくり泳ぐ生物もこれらの漂流物と同じように利用されます。これらを利用する魚類は、サバ類やアジ類など群をつくって表層を泳ぐ魚類が多いのですが、なかにはイスズミ類やモンガラカワハギ類などの沿岸性魚類もいます。
 流れ藻には稚魚や若魚が特に多くつきます。これまで、ブリ、メバル類、カ ワハギ類、メジナ、イシダイなど、100種以上が確認されています。サンマやサ ヨリは流れ藻を産卵場所(藻に卵を産みつける)として利用しています。シイ ラ、カツオ、キハダなどは成魚も流木やジンべエザメなどに寄りつきます。
 なぜ漂直物に魚類が集まるのでしょうが。中村泉博士(1993)によれ ば、隠れ場所として集まる、漂流物の発する音や振動に誘われる、集まっ てきた小動物を餌として食うために集まる、など様々な説があるといいま す。ブリの場合は、流れ藻に集まる小動物を食べるためや避難場所として 利用していると考えられています。
 このような“物につく”という魚類の習性を利用した漁法があります。西日本の「シイラ潰(づけ)」もその1つで、竹を束ねた人工漂流物に集まったシイラを旋網(まきあみ)や釣りで漁獲します。また、東部太平洋で行われている アメリカ式巾着網ではイルカ類につくカツオやキハダを漁獲しています。

 
シイラ漬 (上野・坂本,2004より)      アメリカ式巾着網


参考資料
上野輝彌・坂本一男.2004.日本の魚 系図が明かす進化の謎.中公新書、中央公論新社,東京. 金田禎之.1994 .日本漁具・漁法図説.(増補改訂三版).成山堂書店,東京. 中村 泉.1994.漂流物と魚.週間朝日百科 勁物たちの地球93魚類9.朝日新聞社,東京. 山本昌幸・栩野元秀・山賀賢一・藤原宗弘、2002、瀬戸内海中央部の流れ藻に随伴する幼稚魚,日本水産学会誌  68(3):362-367




 



 築地市場に入荷するアジ類

 アジ類には、水産上重要な魚が多く含まれています。世界では約140種か知 られ、ほとんどの種が利用されています。日本近海には56種が分布します。数 がまとまらず流通しないものも多いので、小売店などではこれほど多くのアジ 類を見かけません。築地市場には国産のもののほか、海外から輸入されるアジ 類もあります。この10年間で、まれにしか入荷しない魚も含め、39種が確認さ れました(表)。ここでは、築地市場に入荷する主なアジ類を紹介します。な お、国内生産量は2002年、世界の生産量は1996年、輸入量は2002年、築他市 場入荷量は2003年のものです。


 築地市場に入荷したアジ類  ○…多い △…少ない ×…まれ
 イトヒキアジ属   カイワリ属
 △ イトヒキアジ  国産・生鮮  ○ カイワリ  国産・生冷
 マブタシマアジ属  オニアジ属
 × クロホシマブタシマアジ  国産・生鮮  × オニアジ  国産・生鮮
 イトヒラアジ属   ブリモドキ属
 X イトヒラアジ    国産・生鮮   × ブリモドキ  国産・生鮮
 × テンジクアジ  国産・生鮮  クロアジモドキ属
 ヨロイアジ属    × クロアジモドキ  国産・生鮮
 × コガネアジ  輸入・生鮮  Parona属
 × ホシカイワリ  輸入・生鮮  × スジイケカツオ  輸入・生冷
 × リュウキュウヨロイアジ  輸入・生鮮  シマアジ属
 △ ナンヨウカイワリ  国産・生鮮  ○ シマアジ  国輸・生鮮
 ギンガメアジ属  メアジ属
 × ロウニンアジ  国産・生鮮  △ メアジ  国産・生鮮
 △ カッポレ  国産・生鮮  ブリ属
 X カスミアジ  ○ カンパチ  国産・生鮮
 X オニヒラアジ  国産・生鮮  ○ ヒラマサ  国産・生鮮
 △ ギンガメアジ  国産・生鮮  O ブリ  国産・生鮮
 ムロアジ属  △ ヒレナガカンパチ  国産・生鮮
 △ アカアジ  国産・生鮮  アイブリ属
 × モロ  国産・生鮮  × アイブリ  国産・生鮮
 △ マルアジ  国産・生鮮  コバンアジ属
 X ムロアジ  国産・生鮮  X コバンアジ  国産・生鮮
 ○ オアカムロ  国産・生鮮  △ マルコバン  国輸・生鮮
 ツムブリ属
 × フロリダポンパノ  輸入・生鮮
 X ツムブリ  国産・生鮮  マアジ属
 コガネシマアジ属   ニュージーランドマアジ   輸入・生鮮
 X コガネシマアジ  国輸・生鮮  ○ マアジ  国産・生鮮
 オキアジ属  ○ ニシマアジ  輸入・冷凍
 × オキアジ  国産・生鮮
----------------------------------------------------------------------
                          国輸ー国産・輸入、生冷ー生鮮・冷凍
カイワリ


  カイワリ類
   
   
           
種類 :
カイワリ
分布 : 
本州中部以南、インド・太平洋
大きさ : 
体長25p
漁法  : 
底曳網、釣り、定置網
生産地 : 
長崎県、高知県
国内生産・輸入・入荷統計資料なし

利用法 : 刺身、塩焼、煮付け
備考 :
沿岸の浅い砂底から沖合にすみ、成長とともに探湯に移ります。大きなものは体長30pを越えます。一般の小売店では、見かけることが少ないですが白身で味がよいといわれます。
カイワリには「白手めっき」と「黒手めっき」の2型があると言われます。分布、体形、色彩、身質が異なるので、別種かどうか検討されています。
                


  カンパチ類
   
   
カンパチ           
種類 :
カンパチ、ヒレナガカンパチ
分布 : 
本州中部以南、世界の温・熱帯海域
大きさ : 
体長1.5m
漁法  : 定置網、釣り、養殖
生産地 : 鹿児島県、宮崎県、高知県、香川県、大分県
生産量: 
49848トン(国内養殖)
輸入量: 統計資料なし
入荷量: 6758トン(生鮮189トン、生鮮美殖3813トン、活魚2756トン)

利用法 : 刺身、寿司、塩焼、照焼き、煮付け
備考 :
やや沖合を泳いでいます。小魚、イカ類、甲殻類などを食べます。日本近海での産卵期は3〜8月で、浮遊卵を産みます。体長4cmぐらいまでは流れ藻に寄り添っています。ヒレナガカンパチの分布は、カンパチとほぼ同じですが、日本近海ではカンパチよりやや南あるいは沖合に多いようです。
 築地市場に入荷するカンパチ(活魚を除く)の95%は養殖です。カンパチの小ぶりのものは「塩子、しおっこ、しよっこ」などと呼ばれます。
    



  シマアジ
   
   
           
種類 :
シマアジ
分布 : 
岩手県以南、世界の温暖海域
大きさ : 
体長60p
漁法  : 
定置網、釣り、養殖
生産地 : 
愛媛県、熊本県、長崎県、高知県、三重県
生産量:
2931トン(国内養殖)
輸入量 : 統計資料なし

入荷量 :  571トン(生鮮207トン、活魚364トン)

利用法 :
刺身、寿司
備考 :
沿岸の岩礁や砂底近くを泳いでいます。主に小魚を食べます。日本の南部での産卵期は11〜2月で、浮遊卵を産みます。40時間ほどでふ化します。
養殖魚では1年で体長19cm、2年で31cm、3年で40cm、4年で46cmに成長します。シマアジには体形や遺伝的に異なる2型があるといわれています。(輸入のシマアジについては11頁参照)
    



  ヒラマサ
 
   
                   上顎の形
種類 :
ヒラマサ
分布 : 
東北地方以南、世界の温暖海域
大きさ : 
体長1m
漁法  : 
定置網、釣り、養殖
生産地 : 
長崎県、千葉県、島根県、石川県、鳥取県
生産量:
統計上ブリ類に含められている。漁獲量はブリより少ない。
輸入量 :  統計資料なし
入荷量 : 416トン
利用法 : 刺身、塩焼、照焼き
備考 :
沖合の表層から岩礁付近の中潜を泳いでいます。小魚、イカ類、アミなどを食べます。日本近海での産卵期は4〜5月。1年で体長40cm、2年で65cm、3年で83cm、4年で95cmに成長すると考えられています。日本近海での回遊経路はわかっていません。
 ヒラマサとブリはよく似ています。体つきや体側面の黄色帯で区別できるとされていますが、大きさや状態により分かりにくいことがあります。上顎(主上顎骨)の角の形(ブリ:角張る、ヒラマサ:丸い)、胸鰭の長さ(ブリ:腹鰭と同じ、ヒラマサ:腹鰭より短い)で見分けるとよいでしょう。
    



  ブリ
   
   
           
種類 :
ブリ
分布 : 
日本各地、朝鮮半島
大きさ : 
体長1m
漁法  : 
定置網、釣り、養殖
生産地 : 
長崎県、千葉県、島根県、石川県、鳥取県
生産量:
51194トン(国内漁獲、ブリ類として)、107736トン(国内養殖)
輸入量 : 
744トン
入荷量 : 16342トン(生鮮6420トン、養殖生鮮9485トン、活魚355トン、冷凍100トン)

利用法 : 刺身、塩焼、照焼き、煮付け、塩鰤、蕪鮓(かぶらずし) 
備考 :
岸寄りの表層から中層を泳いでいます。小魚やイカ類を食べます。春から夏に北海道オホーツク海沿岸まで餌を求めて北上し、秋から冬に越冬および産卵のために南下します。産卵期は2〜7月で、地方により異なります。61万〜150万粒の浮遊卵を産みます。稚魚は流れ藻に寄り添っていますが、夏には内湾に移動し成長します。1年以上のものは回遊するようになります。1年で体長30cm、2年で40〜50cm、3年で60cm、4年で70cm、5年で80cmに成長します。寿命は6年以上。  ブリは成長とともに呼び名が変わる出世魚です。各地の呼び名は…
 関東
 わかし   →  いなだ → わらさ → ぶり
(およそ10〜20cm)(30〜40cm)(50〜60cm)(成魚)
 関西     
 もじやこ→わかな→つばす→はまち→めじろ→ぶり。
 富山     
 つばいそ・ふくらぎ→はまち・がんど→中鰤 →大鰤
(30cm)      (40〜50cE) (60cm)

 ブリの養殖は1928年に西日本で始まりました。体長60cmぐらいに育てて出荷したので、その大きさの関西での呼び名である「はまち」(関東のわらさに相当)と呼ばれました。なお、現在築地市場に入荷する生鮮ブリの60%は養殖です。(養殖法については おさかな情報No.27参照)
    



  マアジ
   
   
           
種類 :
マアジ
分布 : 
日本各地、朝鮮半島、東シナ海
大きさ : 
体長30cm
漁法  : 
定置網、旋網、釣り、養殖
生産地 : 
長崎県、島根県、愛媛県、福岡県、鹿児島県
生産量:
196044トン(国内漁獲)、3462トン(国内養殖)
輸入量 : 10632トン(輸入アジ類のうち韓国、中国、台湾からのものとして)
入荷量 : 17027トン(生鮮)
       (冷凍(382トン)や丸干(140トン)、開干(9060トン)には輸入のマアジ類が入っている可能性が高く、マアジだけの数量は不明)
利用法 : 刺身、たたき、干物、塩焼、煮付け、フライ、寿司、南蛮漬け 
備考 :
沿岸から沖合の中層を泳いでいます。小魚、オキアミ、動物プランクトンなどを食べます。産卵期は1〜11月の長期にわたりますが、西日本では1〜5月、東日本では5〜7月が盛期です。2万〜18万粒の浮遊性の卵を産みます。1年で体長15p、2年で25cm、3年で30cmに成長します。寿命は5年以上。およそ2年で成熟すると考えられています。
「関あじ」や「ごんあじ」、「黄金あじ」などは、すべてマアジの商品名、いわゆるブランド名です。漁獲方法や鮮度保持などの工夫により、ほかの場所のマアジとの差別化をはかっています。これらのブランド化されたマアジは、「瀬付きあじ」と呼ばれるマアジが多いようです。
マアジには「黄あじ」と「黒あじ」の2型があるといわれます。「瀬付きあじ」は「黄あじ」に相当します。特定の岩礁(瀬)の周辺にすみ、大きな回遊はしません。体は大く、全体が黄色がかっています。 脂ののりがよく、市場での評価も高くなっています。「黒あじ」は、やや沖合にすみ、回遊をします。体は細長く、全体に黒ずんでいます。 大きくなる割りに「黄あじ」ほど脂のらず、評価は高くありません。 これらの2型については、同種か別種かで議論されてきましたが、今のところマアジの変異と考えられています。近年、典型的な「黄あじ」はほとんど見られないようですが、その原因はわかっていません。
    



  ムロアジ類
   
   
  オアカムロ
       
          ムロアジ
         
             マルアジ
            
                  マルアジ

種類 :
オアカムロ、ムロアジ、マルアジ、アカアジ、モロ
分布 : 
本州中部以南
大きさ : 
体長25〜40cm
漁法  : 
定置網、旋網、釣り
生産地 : 
長崎県、宮崎県、鹿児島県、高知県、和歌山県
生産量:
41831トン(国内漁獲)
輸入量 :
統計資料なし
入荷量 : 260トン(生鮮1321トン、干物128トン) (上記以外に「くさや(100トン)」があるが、これにはトビウオ類も混ざっているため、ムロアジ類だけの数量は不明)

利用法 : 刺身、塩焼、たたき、干物、くさや
備考 :
ムロアジ属の魚は、日本近海から7種が知られています。どの種も温暖な海域の表層から中層を泳いでいます。このうちマルアジは6〜7月に産卵し、1年で体長22cm、2年で27cmに成長します。そのほかのムロアジ類の生態はよくわかっていません。
 築地市場内で一番多く見られるのはオアカムロです。種ごとの統計がないので正確な数量はわかりません。黄金色の体側面が特徴であるムロアジは、ほとんど見かけません。
 「くさや」は伊豆諸島独特の干物です。主にムロアジ類とトビウオ類が使われます。中でもクサヤモロは「あおむろ」とも呼ばれ珍重されます。標準和名にまで「くさや」が付いているほどです
    





   その他のアジ類
     
   
  メアジ         カッポレ
種類 :
イトヒキアジ、ナンヨウカイワリ、カッポレ、メアジ、マルコバン
分布 : 
本州中部以南
大きさ : 
メアジ:体長25cm、カッポレ:50cm、イトヒキアジ:100cm
漁法  : 
定置網、釣り
生産地 : 
宮崎県、小笠原、三重県
生産量: 
輸入量統計資料なし
入荷量 :
 
18トン
利用法 :
 
刺身、塩焼
備考 :
これらのアジ類は、一度にまとまって捕れることが少ないので、市場に入荷する量も多くありません。多くは暖流性の魚で、小笠原や九州で漁獲されるほか、関東沿岸でも黒潮が接近したときに漁獲されます。マルコバンは、沖縄、台湾、東南アジアなどで養殖も行なわれています。
    



  輸入のアジ類
     
   
   ニシマアジ      マルコバン
種類 :
ニシマアジ、ニュージーランドマアジ、シマアジ、マルコバン
分布 : 
マアジ属:世界の温帯海域
大きさ : 
マアジ類:体長30cm前後、マルコバン:50cm
漁法  : 
定置網、釣り
輸入先 : 
オランダ、アイルランド、ノルウェー、韓国、ニュージーランド 
生産量:
マアジ類549万トン(日本を除く世界の漁獲量)、シマアジ2869トン
輸入量 : 
49096トン(アジ類として)
入荷量 : シマアジ34トンのほかは統計資料なし
利用法 :
 
刺身、塩焼、干物
備考 :
アジ類は17ケ国から輸入されています。上記の輸入先は数量の多い順です。種別の統計がないので数値はわかりませんが、最も多いのはマアジ属の魚です。ニュージーランドを除く国からの輸入は、ほとんどがマアジ属と考えられます。マアジ属の魚は世界に11種いるとされていますが、どれも日本のマアジによく似ていることから、マアジの代用とされています。冷凍で輸入され、主に干物に加工されています。
ニュージーランドからはシマアジ(日本と同種)が鮮魚で空輸されているほか、ニュージーランドマアジも入荷します。
    



  毒化する可能性のあるアジ類
   
   
  ギンガメアジ   
    
        カスミアジ
種類 :ギンガメアジ、カスミアジ
分布 : ギンガメアジ:千葉県以南インド・太平洋の温暖海域
      
カスミアジ:相模湾以南インド・太平洋の温暖海域
大きさ : ギンガメアジ:体長50cm、カスミアジ:体長50cm
漁法  : 
定置網、釣り
生産統計資料なし
備考 : 熱帯海域のサンゴ礁では、シガテラ毒をつくる有毒な藻類が発生することがあります。この藻類を食べた魚は、体内に藻類の毒が蓄積されます。さらに、毒化した魚を食べた魚も毒化します。シガテラ毒は、どの魚が毒化しているか、外見からは全く区別ができません。アジ類でもサンゴ礁が発達する海域にすむ大型のものは、シガテラ毒を持つ可能性があります。東京都では、ギンガメアジとカスミアジを指導(販売の中止)の対象として注意を呼びかけています。

参考資料
おさかな普及センター資料館.2001.おさかな情報No.13「有毒魚」. 落合明・田中克.1998.新版 魚類学(下)改訂版.恒星社厚生閣,東京. 水産庁加工流通課.2004.水産貿易統計 平成14年. 東京都.2003.平成15年 東京都中央卸売市場年報 水産物編. 中坊徹次(編).2000.日本産魚類検索 全種の同定 第二版.東海大学出版会,東京. 農林水産省統計情報部.2003.平成13年漁業・養殖業生産統計年報. 野口玉男・阿部宗明・橋本周久.1997.有毒魚介類携帯図鑑.緑書房,東京. 山田梅芳ほか.1986.東シナ海・黄海のさかな.水産庁西海区水産研究所,長崎. Shaboneyev,I.Ye.1980.Systematics,morpho-ecological characteristics and origin of carangids of the   genus Trachurus. Voprosi.Ichthyol.,20(6):787-799.          Suda、Y.,M.Shimizu and Y. Nose.1987.Morphoiogical variations of the Japanese jack mackerel Trachurus   Japonicus.Nippon Suisan Gakkaishi, 53(1i):1913-1919.

    



次回の展示テーマ   

  
「イワシ類」    2005年4月1日〜6月30日

 
マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ ニシン・サッパ・キビナゴなど、ニシン目に は水産重要種が数多く含まれています。これ らの魚は沖合の表層を泳ぐため、背は青く、 腹は銀白色です。最近、DHAやEPAを多く 含む食品としても注目されています。展示で は、イワシ類としてこれらの魚を紹介します。