27

おさかな情報 No.27  2004年7月

2004年度 第2回展示テーマ   

      養殖魚
 
     クロマグロ     マアジ

 カンパチ         マダイ
      ヒラメ    シマアジ


  はじめに

  ブリ、マダイ、ヒラメ、トラフグ、ウナギ、アユなど、私たちの食卓になじ みの深い魚が、現在、たくさん養殖されています。平成13年の養殖魚の生産量 は32万トンでした。貝類、エビ類、海藻類なども含む養殖業全体の生産量は 131万トンで、これは日本の水産業の総生産量の約21%にあたります。  また、輸入魚のなかにも養殖されたものがあります。ノルウェー、チリ、タ スマニアのタイセイヨウサケ、チリのギンザケなどです。 トラフグも中国から 養殖されたものが輸入されています。  展示では、養殖されている魚や養殖方法などを標本とパネルで紹介します。

     
         
          

              目        
 はじめに   ・・・・・・・・・・・・・ 1  築地市場に入荷する養殖魚 ・・・・・ 6
 世界の養殖業 ・・・・・・・・・・・ 2  築地市場おさかなニュース
 日本の養殖業 ・・・・・・・・・・・ 3    「魚以外の養殖水産物」・・・・・・・ 10
 「中国の養殖業」 ・・・・・・・・・ 4
 種苗生産と養殖、蓄養 ・・・・ 5  次回の展示テーマ ・・・・・・・・・・・・ 12

                           


  
世界の養殖業

 2000年、世界の水産業の総生産量は約14000万トンでした。このうち、1/3 の約4600万トンは養殖業によるものです。養殖業は世界的にも盛んで、近年の 総生産量に占める養殖の生産量の割合も大きくなっています(図1,2)。  上位の生産国は中国(4964万トン、うち養殖3244万トン、2000年)、ペルー(1067、 1)、日本(640、129)、インド(579、210)、アメリカ(522、43)、インドネシア(515、 99)、チリ(497、43)、ロシア(411、8)、タイ(363、71)、ノルウェー(338、49)で、これら の10ケ国で世界の70%(養殖業では世界の85%)になります。なかでも、中国の 生産量は非常に多く、全世界の36%、養殖業だけでみると70%にもなります。 中国水産業の生産量の約6割(64%)は養殖によるもので、中国の水産業生産は養 殖業に支えられているといえます。養殖業で中国についで生産量が多い国は、 インド、日本などで、世界の養殖業はアジア諸国が主流となっています。  世界で養殖されているものは、コイ・フナ類(1571万トン、2000年)、ティラピ ア類
*(127)、ウナギ類(23)、サケ・マス類(153)などの魚類のほかに、力二類 (14)、エビ類(109)、貝類(913)、藻類(1013)およびそのほかの魚介類(649)で す。魚類については、日本ではブリ類やマダイ、ヒラメなど海産魚の生産量が 多いですが、世界的にみるとコイ・フナ類、ティラピア類など淡水魚が中心です。

*
FAOの統計に従った。カワスズメ科の複数種を含む。
     
     
図1.世界の水産業の総生産量 「中国統計年鑑2000年版」 真道(2002)より


図2.世界の養殖業生産量 「中国統計年鑑2000年版」(真道、2002より) およびFAO Fishstat 「Aquaculture production 1970-2000」(「平成13年漁業・養殖業統計年報」より)をもとに作成

参考資料
FAO Rshstat 「Capture producUon 1970-2000」・「Aquaculture production 1970-2000」(「平成13年漁業・養   殖業統計年報 農林水産省統計情報部」より引用) データで見る養殖界’02 養殖魚の生産・流通・消費動向を知る.養殖2002年6月号



 
日本の養殖業

 長い伝統を持つ日本の養殖業は昭和30年代の中頃以降、特に海面養殖業が急速に発展しました。これは、高度経済成長下における食生活の高度化、多様化にともなう水産物需要への対応、沿岸漁業の構造改善の一貫として国が振興したこと、技術開発が進んだことなどによるものです。その後も、養殖業は日本の水産業においてその重要性を増してきましたが、特に昭和60年代以降、遠洋漁業、沖合漁業の減産により、その重要性は益々高くなっています(図3)。
 平成13年(2001年)の水産業の総生産量は613万トンで、そのうち約21%にあたる131万トンは養殖業によるものです。内訳は、海面養殖業が125.6万トンで、そのうちブリ類(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)、マダイ、ギンザケ、ヒラメ、トラフグ、シマアジ、マアジなど魚類が26.4万トン、ホタテガイ、カキなど貝類が46.9万トン、コンブ類、ワカメ類、ノリ類など海藻 類が51.1万トン、そのほかクルマエビ、ホヤ類などが1.1万トンです。内水面では、ニジマス、コイ、アユ、ウナギなどが養殖され、生産量は5.6万トンでした。


 主要な養殖魚の生産量と漁業生産
         (平成13年,千トン)
--------------------------------------
        養殖    漁業
--------------------------------------
 ブリ類
*   153.1    66.9
 マダイ     72.0    14.6
 ギンザケ    11.6    なし
 ヒラメ     6.6     6.7
 トラフゲ    5.8     7.8
**
 シマアジ    3.4  統計なし
 マアジ     3.3    214.4
 ニジマス    10.5     0.5
 コイ      9.9     3.6
 アユ      8.1    11.1
 ウナギ     23.1     0.7
---------------------------------------
主にブリ、ほかにカンパチとヒラマサ
**フグ類として

 表は、主要な養殖魚の生産量と漁業生産を比較したものです。多くの魚種で養殖魚の比重が高くなっています。


 図3.部門別生産量の推移  「平成13年漁業・養殖業生産統計年報」より


参考資料
大島泰雄(編).1994.水産増・養殖技術発達史.緑書房、東京、農林水産省統計情報部.2003.平成13年漁業・養殖業生産統計年報.



               

    中国の養殖業

  近年の中国水産業の発展はめざましく、特に1980年代後半からの生産 量の増加には著しいものがあります(2頁の図1)。中国の水産業の特徴は、 養殖業の生産の比重が高いことで、2000年の総生産量約5000万トンのう ち、約6割にあたる3200万トンは養殖業によるものです(図4)。
 中国の養殖業は、日本と異なり(3頁参照)、淡水魚を中心とした内水 面養殖の割合が高いことが特徴です。魚類だけをみると、ほとんどが淡水 魚で、海産魚の割合は非常に小さくなっています(図4)。
 海面養殖の主要なものは、二枚貝類を中心とした軟体類とコンブを中心 とした海藻類で、魚類や甲殻類(クルマエビ類など)はわずかしか生産さ れていません(図5)。
 図6は、主な淡水魚養殖の生産量の変化をみたものですが、ティラピア を除いて全てコイ科魚類です。1990年代から、全種の生産量が増加してい ますが、特にハクレン、ソウギョ、コイなどの増加が目立ちます。


     
   図4.漁業と養殖業の生産量の推移 出典:「FAO /FlSHSTAT Plus 2000 」     真道(2002)より引用  *海面捕獲は海面漁業のこと

     
   図5.海面養殖の種類別の生産量の変化 出典:「FAO/FISHSTAT Plus 2000 j     真道(2002)より引用

    
    図6.淡水(内水面)養殖魚の種類別の生産量の変化 出典:「FAO /FISHSTAT Plus 2000 」真道(2002)より引用
    *フナ類; **コイ科の1種; ***カワスズメ科の複数種を含む
 


参考資料
真這重明 .2002.統計から見た中国の水産業.養殖11月号、  福田 裕 .2002.中国における淡水養殖業の最近の動向.養殖11月号.

       −4−


              

 種苗生産と養殖、蓄養

 
種苗生産は、自然産卵(水槽などに成熟した親魚を入れて産卵、受精した卵を集める)または人工受精(親魚から採卵し、人工的に受精させる)した卵をふ化させ、稚魚を作ることです。種苗生産で得られた稚魚を人工種苗と呼びます。これに対して自然の海や川で採集した稚魚は、天然種苗と呼びます。人工種苗は養殖のほか、放流にも使われます。生まれたばかりの稚魚は、体も小さく弱いので、特別な飼育施設と餌が必要です。このため、種苗生産は、国の機関や地方自治体の水産試験場、専門の業者などが行なっています。
     
  





          天然種苗      放流       漁獲
                ↓   ↑        ↓
出荷
 採卵      人工種苗     稚魚育成    養殖(蓄養) →


 養殖は、稚魚や若魚など小さな魚に餌を与え、食用に適した大きさにまで育てることです。元となる稚魚や若魚には、人工種苗と天然種苗が使われます。 その種苗を一定の大きさに区切った水域で飼育します。古くは浅い海を堤防などで仕切った築堤式養殖揚が主体でした。築堤式養殖揚は場所に制約がありコストもかかるので、現在は網生簀(あみいけす) が主流です。網生簀は、飼う魚種や作業内容によって、設置場所や大きさを変えることができます。
このほか陸上に設けた陸上生簀(水槽)もあります。餌は、以前は小魚や魚肉のミンチでしたが、栄養バランスや作業効率から配合飼料 が多くなっています。
                          築堤式養殖場


 蓄養は、生きたまま漁獲された魚または養殖魚を出荷するまでの一時期、生簀などに入れて飼うことです。最近では、養殖と蓄養の境界のあいまいさから、蓄養は養殖に含まれています。そのため、天然の魚でも、餌を与えれば養殖魚とみなされます。
 養殖された魚の出荷形態は、活魚と取上げ時に即殺した鮮魚(または鮮魚フィレ)があります。活魚は、活魚運搬船や活魚トラックで運ばれます。これらの船や車には水槽があり、酸素注入、水温、水流、照明など、魚を活かして運ぶ様々な工夫がされています。

                         活魚運搬船



 築地市場に入荷する養殖魚

 築地魚市場には、マダイやブリ、ウナギなど良く知られた魚種のほかにも多くの種類の養殖魚が入荷します。まれにしか入荷しないものも含めると、60種 あまりになります(下表参照)。連日、かなりの量の入荷があると思われますが、東京都中央卸売市場年報に養殖魚として掲載があるのはブリとマダイだけ で、そのほかの養殖魚の統計資料はありません。ここでは、築地市場に入荷する主な養殖魚を紹介します。なお、入荷以外の数量は2001年のものです。

    築地市場に入荷した養殖魚 …多い …少ない ×…まれ

 チョウザメ科  フサカサゴ科  アジ科
×チョウザメの一種
× カサゴ    ◎ ブリ
  ウナギ科  △ キツネメバル △ ヒラマサ
◎ ウナギ    ◎ クロソイ ◎ カンパチ
× ヨーロッパウナギ   ◎ メバル ◎ マアジ
 アナゴ科     オニオコゼ科 × マルコバン
◎ マアナゴ      ◎ オニオコゼ ◎ シマアジ
 コイ科  ギンダラ科  イサキ科
◎ コイ        × ギンダラ  △ イサキ
◎ ギンブナ    アイナメ科  タイ科
× ホンモロコ × アイナメ  △ クロダイ
 ドジョウ科         カジカ科 ◎ マダイ
◎ ドジョウ × カジ力     ニベ科
 ナマズ科  アカメ科   × フウセイ
△ ナマズ     ◎ ナイルアカメ △ オオニベ
 アメリカナマズ科    スズキ科  カワスズメ科
× アメリカナマズ   ◎ スズキ ◎ ナイルティラピア
 アユ科         ◎ タイリクスズキ  イシダイ科
◎ アユ         × モトケツギョ ◎ イシダイ
 サケ科    ハタ科 △ イシガキダイ
× イトウ      ◎ マハタ  サバ科
◎ タイセイヨウサケ    △ アカハタ △ マサバ
◎ ニジマス    △ クエ △ クロマグロ
× アメマス △ キジハタ ◎ ミナミマグロ
◎ イワナ ◎ チャイロマルハタ  ヒラメ科
◎ マスノスケ △ ヤイトハタ  ◎ ヒラメ
◎ ヤマメ  スギ科  カレイ科
◎ アマゴ    △ スギ ◎ ホシガレイ
 トウゴロウイワシ科   メジナ科 △ マツカワ
× ペヘレイ △ メジナ   フグ科
 カワハギ科 ◎ トラフグ
△ カワハギ



ウナギ
   
   

     
養殖方法 :すべて天然種苗です。冬の夜、川に上る稚魚(シラス)を海岸で明をつけ集めて捕ります。陸上の淡水池に入れ、水温を高めにして(暖房やビニールハウスなど)餌を与えます。およそ半年で出荷されます。
歴  史  :1879年に東京の深川でシラスを育てたのが始まりです。その後、1891年に静岡県の浜名湖での養殖が行なわれるようになりました。昨年養殖研究所が世界で初めて人工採卵した卵から仔ウナギを育てることに成功しました。今後、養殖業への応用が期待されます。
主な産地 :鹿児島県、愛知県、宮崎県、中国
生 産 量:流通しているウナギの大半が養殖されたものです。国内養殖生産量は 2.3万トンで、漁獲量(677トン)の34倍にもなります。近年、中国など海 外での養殖が増え、国産より輸入品の方が多くなっています。
出荷形態 :
活魚、白焼き、蒲焼きなど


 アユ
   
    
     
養殖方法 :人工殖苗と天然種苗です。湧き水や河川水を引き込んだ流れのある 池で育てます。ふつう、アユの寿命は1年で、産卵後死んでしまいます。このため、天然アユは川に上って成長した6月から、産卵のため川を下る10月までしか漁獲できません。ところが、養殖アユは通年入荷します。アユの成熟には日照時間が影響しているので、夜間、照明をつけておくことで出荷時期を調整できます。
歴  史  :明治時代に滋賀県で琵琶湖の「小船」を育てたのが始まりです。その後、急速に各地に広がりました。人工採卵ができるようになったのは、1928年以降です。
主な産地 :徳島県、和歌山県、滋賀県、宮崎県
生 産 量:国内生産量は8152トンで、漁獲量(11148トン)よりやや少ない。
出荷形態 :活魚、鮮魚
備  考  :最近、中国でもアユの養殖が行なわれるようになりました。


サケ類

   
    
     
養殖方法 :すべて人工種苗です。湧き水や河川水を引き込んだ流れのある池で育てます(ニジマス、ヤマメ、イワナなど)。種類によっては、その後内湾などに浮かべた網生簀で飼育されるものもあります(タイセイヨウサケ、ニジマス、ギンザケ、マスノスケ)。
歴  史  :国内では、明治時代にアメリカからニジマスの卵を輸入し、長野県で養殖したのが始まりです。その後、淡水での養殖は日本各地で行なわれています。海面での養殖は1970年代になってからで、輸入したギンザケの卵から稚魚を育て、網生簀で飼育します。
主な産地 :宮城県、長野県、静岡県、ノルウェー、チリ、オーストラリア
生 産 量:国内生産量はギンザケが11616トン、ニジマス10519トン、そのほか3985トン。タイセイヨウサケと”トラウト”(ニジマス降海型のスチールヘッドのこと)はすべて養殖物の輸入です。
出荷形態 :活魚、鮮魚


 カサゴ類

   
    
     
養殖方法 :ほとんどが天然種苗です。海面に浮かせた生簀で育てます。天然種苗は韓国などからも輸入されています。
歴  史  :養殖の歴史は新しく、1990年代になって始められました。
主な産地  :香川県、熊本県、長崎県、山口県、福井県
生 産 量:主にメバル、カサゴ、クロソイの3種が養殖されていますが、数量は多くありません。築地市場でも、養殖のクロソイは見かけますが、カサゴはほとんど入荷しないようです。 
出荷形態 :
活魚


 スズキ類

   
    
     
養殖方法 :人工種苗と天然種苗があります。
歴  史  :西日本でスズキの天然種苗を用いて養殖が始まりました。 1980年ごろから、成長が良い韓国や中国のタイリクスズキの稚魚を輸入する所が多くなっています。
主な産地  :愛媛県、香川県、宮崎県、長崎県、台湾、中国
生 産 量:統計資料なし
出荷形態 :
鮮魚
備  考  :タイリクスズキは、もともと日本には分布しない種類でしたが、養殖中のものが逃げ出し、各地で見られるようになりました。在来のスズキとの関係も含め、生態系への影響が問題となっています。


 ハタ類

   
    
     
養殖方法 :人工種苗と天然種苗があります。稚魚を海面に浮かせた生簀に入れ魚肉などを与えて育てます。
歴  史  : 研究は1980年ごろ、産業的には1985年ごろから行なわれています。
主な産地  : 和歌山県、愛媛県、三重県、長崎県、台湾、東南アジア
生 産 量:統計資料なし
出荷形態 :
活魚、鮮魚
備  考  :国内ではマハタ、クエ、アカハタ、キジハタなどが養殖されていますが、量は多くありません。台湾や東南アジアでは温暖で成長も良いことから、さかんに養殖されています。とくに台湾で養殖されたチャイロマルハタは、通年、築地市場に入荷します。


 ブリ類

   
    
     
養殖方法 :すべて天然種苗です。ブリの稚魚(“もじゃこ”と呼ぶ)は、海面を漂う流れ藻に寄り添う習性があり、流れ藻をすくいとって稚魚を集めます。稚魚は、海面に浮かべた生簀で育てます。
歴  史  : ブリの養殖は、1928年に香川県で始められました。最初は築堤式でしたが、第二次世界大戦で中断した後、網生簀の普及によって西日本各地で行なわれるようになりました。カンパチは、ブリに比べ日本近海で捕れる稚魚が少なく、高めの水温を好むため、ブリに混ざって養殖される程度でした。 1960年代になると各地で研究が進み、稚魚の輸入もあって、急速に増えました。
主な産地  : 沖縄県、愛媛県、香川県、鹿児島県
生 産 量:ブリ、カンパチ、ヒラマサを合わせた国内の養殖生産量は15.3万トンで、国内で養殖される魚の51%を占めます。築地市場の入荷量はブリ9485トン、カンパチ3813トン(2003年、活魚除く)。
出荷形態 :
鮮魚、生鮮フィレ、活魚
備  考  : ブリの養殖はかつて「ハマチ養殖」と呼ばれていました。これは、この養殖が西日本で始まり発達しだので、60cmぐらいのブリの関西での呼び名(関東では”わらさ”)が使われていました。


 シマアジ

   
    
     
養殖方法 :天然種苗より人工種苗の割合が高くなっています。
歴  史  :1955年に天然の稚魚を育てたのが始まりです。1973年には人工種苗の生産が確立し、養殖量も増加しました。
主な産地  : 愛媛県、大分県、長崎県、高知県
生 産 量:国内生産量は3396トン。
出荷形態 :
鮮魚、活魚



 マアジ

   
    
     
養殖方法 :天然種苗で、四国や九州の定置網や旋網で漁獲した稚魚を海面に浮かせた生簀で育てます。アジ用配合飼料や魚肉ミンチを与えます。
歴  史  :1970年代に静岡県沼津付近で始まりました。
主な産地  : 静岡県、愛媛県、高知県、長崎県
生 産 量:国内生産量は3308トン。
出荷形態 :
活魚


 マダイ

   
    
     
養殖方法 :ほとんど人工種苗です。海面に浮かせた生簀で育てられます。
歴  史  :1950年代までは、ブリと一緒の生簀で1kg前後の大きな種苗を使って行なわれていました(蓄養に近い)。 1960年代後半、天然種苗を網生簀で育てる方式が始まり、1970年代に西日本各地で行なわれるようになりました。人工種苗の研究は明治時代から行なわれていましたが、稚魚まで育つようになったのは1962年になってからです。
主な産地  : 愛媛県、三重県、熊本県、長崎県
生 産 量:国内生産量は71996トン。
出荷形態 :
鮮魚、生鮮フィレ、活魚


 マグロ類

   
    
     
養殖方法 :天然種苗です。鹿児島県から和歌山県沿岸で釣られた20〜30cmの若魚を、海面に浮かせた直径15〜50mの大きな網生簀で育てます。スペイン、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどでは、さらに大きな個体を肉質改善のために飼っています(蓄養)。オーストラリアではミナミマグロ、それ以外ではクロマグロです。
歴  史  : 天然種苗の養殖研究は1969年に始まりました。 1980年代から南日本各地で、試験的な養殖が続けられています
主な産地  : 和歌山県、鹿児島県、オーストラリア、スペイン
生 産 量:統計資料なし
出荷形態 :
鮮魚


 ヒラメ

   
    
     
養殖方法 :人工種苗です、主に陸上生簀で育てられます。
歴  史  : 人工種苗の養殖は1965年に完成し、1977年ごろ普及し始め、1983年ごろから急激に生産量が増えました。
主な産地  :大分県、愛媛県、鹿児島県、三重県、中国、韓国
生 産 量国内生産量は6638トン。韓国や中国からの活魚輸入も増えています。
出荷形態 :
活魚、鮮魚

 
 トラフグ

   
    
     
養殖方法 :人工種苗です。海面に浮かせた網生簀や、陸上生簀で育てられます。
歴  史  :1933年に山口県で成魚を蓄養したのが始まりです。その後、一時衰退しましたが、1960年に人工種苗の生産に成功し、西日本各地で養殖が行なわれるようになりました。
主な産地  : 長崎県、熊本県、愛媛県、中国
生 産 量:国内生産量は5769トン。中国からの輸入も増えています。
出荷形態 :
活魚、鮮魚



--- 築地市場おさかなニュース ---
 

 魚以外の養殖水産物
 
 魚以外の水産物にも、養殖されているものがたくさんあります。なお、数量は 平成13年のものです。
    
 貝類
            
        

主な種類 : クロアワビ、アカネアワビ、ミダノアワビ、アカアワビ、フクトコブシ、エスカルゴ、アカガイ、ムラサキイガイ、マガキ、イワガキ、ヨーロッパヒラガキ、アメリカイタヤガイ、アズマニシキ、ホタテガイ、ヒオウギ、イタヤガイ、ヒレシャコ、ヒメシャコ、トリガイ
主な産地 :マガキ(岩手・宮城・広島)、ホタテガイ(北海道・青森・岩手)、フクトコブシ(台湾)、ムラサキイガイ(宮城)、アメリカイタヤガイ(中国) 、アカガイ(青森)、トリガイ(山陰)
養殖方法 :海中垂下(ホタテガイ、マガキ、ムラサキイガイ)、地まき(ホタテガイ、マガキ)、陸上水槽(アワビ類)
備 考 :国内生産量は46.9万トンで、全養殖生産量の37%にあたります。なかでもカキ類(23万トン)とホタテガイ(23.5万トン)は多く、この2つで貝類養殖生産量の99%になります。マガキはもっとも古くから養殖が行なわれている水産物の1つです。海中垂下(ロープやカゴで海中につるす)や地まき(海底にまく)で養殖され、殼付きまたはむき身で出荷されます。マガキは天然で漁獲されるものより、養殖されるものの方が多くなっています。


 甲殻類

       
   
主な種類 :クルマエビ、ウシエビ、コウライエビ、そのほかのクルマエビ類、オニテナガエビ、アメリカザリガニ、アメリカンロブスター、ガザミ 、ノコギリガザミ、モクズガニ、テュウゴクモクズガニ、サワガニ、ミネフジツボ
主な産地 : クルマエビ(沖縄、鹿児島、熊本)
養殖方法 :クルマエビは人工種苗です。ふ化した幼生は、浮遊生活の後、稚エビに変態します。この稚エビを飼育池(陸上や海を仕切ったもの)に移し育てます。
備 考 : 国内より海外での養殖がさかんです。特にクルマエビ類は世界の温暖な地域で養殖されています。国内のクルマエビ生産は2万しで、全養殖量の0.2%にあたります。そのほかの甲殻類の統計資料はありませんが、大きな規模での養殖は行なわれていないと思われます。


 海藻類
            

主な種類 : ワカメ、コンブ類、ノリ類、モヅク類、スイゼンジノリ、アオノリ類、クビレヅタ、マツモ
主な産地 : ワカメ(岩手、宮城、徳島)、コンブ類(北海道、岩手、宮城)、ノリ類 、(兵庫、佐賀、香川)、モヅク類(沖縄、鹿児島)
養殖方法 :海藻は胞子から発生します。水槽などで胞子を縄に付着させた後、この種縄を筏(いかだ)などにつるし、成長させます。
備 考 : 国内生産量は51万トンで、コンブ類6.3万トン、ワカメ5.7万トン、モヅク 1.8万トン。


 その他
               

主な種類 : ウニ類、マボヤ、スッポン、ウシガエル
備 考 : 生産量はマボヤ9千トン、スッポン452トン(2000年)

参考資料
農林水産省統計情報部.2003.漁業・養殖業生産統計年報,農林統計協会.


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 次回の展示テーマ
  「サバ型魚類」 
   2004年10月1日〜12月30日
  サバ類(マサバ、クロマグロ、カツオ、サ ワラなど)、タチウオ類およびクロタテカマ ス類(クロシビカマス、バラムツなど)は、 サバ型魚類と呼ばれることがあります。この グループは一つの共通の祖先から進化したと 考えられており、私たちになじみの深い魚が 多く含まれています。

     
-12-