22

おさかな情報 No.22   2003年4月

2003年度第1回展示テーマ   
   阿部宗明博士 「新顔の魚」の復刻


             目      次
はじめに・・・・・1 
部宗明著『新顔の魚1970-1995』について・・・・2
阿部宗明著『新顔の魚1970-1995』の復刻について・・2
阿部宗明博士(1911-1996)について
(付)書籍の入手方法について・・4 
阿部宗明博士が紹介した新顔の魚・・・・5〜
次回の展示テーマ・・・・12

はじめに
 当館名誉館長の阿部宗明(ときはる)博士(1911-1996)のライフワークともいえる『新顔の魚』が、博士が設立以来理事を務められた財団法人伊藤魚学研究振興財団により復刻されました。『新顔の魚』は、1970年からほぼ1年に1回、B6判リーフレット(平均8頁)で発行されました。輸入魚を中心に私たちになじみのない魚を、市場関係者だけでなく、広く消費者・水産研究者・水産教育関係者に紹介することを目的としたものです。刊行は1995年まで続けられ、26年間に紹介された新顔の魚は190種にのぼります。
創刊当時から増大しつつあった水産物の輸入量は、その後も増加の一途をたどっています。そのため、最近の名称の混乱をみるまでもなく、流通や消費など様々な場面で輸入水産物に関する正確な情報が必要とされています。このような輸入魚をめぐる状況を考えるとき、『新顔の魚』の復刻には意義深いものがあります。
展示では、この出版を記念して、『新顔の魚』(復刻版)とともに、いくつかの興味深い“新顔"の魚を紹介します。

 

 
 阿部宗明著「新顔の魚1970-1995」について
 阿部宗明博士(名誉館長、1911-1996)は、1970年、『新顔の魚』(伊藤魚学研究振興財団発行)の刊行を開始しました。
「当時から増大しつつあった輸入魚を中心に私たちになじみのない魚を、輸入・卸売業者など市場関係者だけでなく、広く消費者・水産研究者・水産教育関係者に紹介することを目的としたものです。ほぼ1年に1回、B6判リーフレット(平均8頁)で発行され、1種ごとにカラー写真・学名・和名・市場名・流通名・原産国名のほか、形態・生態から利用方法、ときには栄養成分まで記載したものです。本リーフレットの特長は、日本人にそれまでなじみのなかった外国産魚を広く紹介したことと、和名のない多くの魚に対して適切な名称(新和名)を与えたことです。出版は1995年まで続けられ(1996年、阿部博士急逝のため休止)、掲載された総数は190種に達しました。」
       (『新顔の魚』(復刻版)の「まえがき」より)

 (付)伊藤魚学研究振興財団について
 「「世間のお役に立たなければ…」が口癖であった伊藤茂造氏は1969年6月、老衰のため逝去された。1970年、房夫人は、茂造氏の社会貢献の遺志を実現すべく、柏井信一郎氏(魚店「ウオツネ」社長)に相談した。夫人の条件は、ただ一つ「伊藤の名前を残す」ということだけであった。柏井氏は直ちに知人で魚類研究者の阿部宗明博士(水産庁東海区水産研究所)に相談した。柏井氏・阿部博士の奔走により、1970年10月、魚学の基礎的な研究を研究資金や出版経費などの面から支援し、もって日本の魚学の振興を図るという「伊藤魚学研究振興財団」(理事長:岡田要東京大学名誉教授)が設立された(産経新聞、1970年10月11日付)。」    (『新顔の魚1(復刻版)より)
財団は、1971-2001年の31年間に260件の課題研究に対して総額6765万円の助成を行ったほか、『新顔の魚』の発行および『魚』(魚の会発行)の刊行助成などの事業を行いました。

 阿部宗明著「新顔の魚1970-1995」の復刻について
「1970年の創刊当時から増大しつつあった水産物の輸入量はその後も増加の一途をたどり、最近では国内の水産物供給量の3割以上を占めています。そのため、輸入・流通・消費・教育など様々な段階で、輸入水産物に関する正確な情報が必要とされています。『新顔の魚』には輸入魚についての様々な情報が掲載されており、その重要性は今日益々高まっています。ただ残念なことに、26年の長期にわたってリーフレット形式で出版されたため、散逸しやすいという欠点がありました。これの再版の要望はこれまで各方面から財団に寄せられていましたが、最近では市場や税関・検疫関係者に加えて、地方自治体の市場検査・食品衛生関係者からのものが目立つようになりました。」
    (『新顔の魚』(復刻版)の「まえがき」より)
このような状況から、伊藤魚学研究振興財団は『新顔の魚』を単行本の形で復刻することにしました。

  一2一


 「阿部宗明(ときはる)博士(1911-1996)について」

経歴
1911年4月3日 東京生まれ
1932年 東京帝国大学理学部動物学科入学
1935年 同学科卒業
      東京帝国大学理学部大学院に進学
1940年 同大学院修了
     東京帝国大学理学部動物学科研究生
1947年 農林省水産試験場勤務(水産研究所の前身)
1949年 農林省東海区水産研究所勤務
1952年 東京大学理学博士(フグ類の研究)
1960年 農林省東海区水産研究所資源部主任研究官
1977年 農林省東海区水産研究所を退職
     海洋水産資源開発センター勤務
1981年 おさかな普及センター資料館館長
1996年8月9日  逝去(享年85)

   東京大学大学院講師(1967.1969.1971)
   筑波大学講師(1979-1983)
   東京大学総合研究博物館客員研究員(1976-1996)

魚の会
  理事(1948-1976)、会長(1976-1996)
日本魚類学会
  会長(1970-1972.1978イ980)、副会長、庶務幹事、監査、評議員
  名誉会員(1990-1996)
  アメリカ魚類・は虫両生類学会外国人名誉会員(1977-1996)
  リンネ協会会員

  伊藤魚学研究振興財団理事(1971-1996)
  藤原博物学教育振興財団理事(1980-1985)
  藤原博物学教育振興財団理事長(1985-1992)
  藤原ナチュラルヒストリー振興財団理事長(1992-1996)

業績
  阿部博士は1930年代から魚類の分類について多数の論文を発表しており、日本の代表的な魚類研究者の一人として世界的によく知られている。その研究の対象は大変幅広く、魚類全般にわたる。これは、「日本の魚類学の父」といわれる恩師の田中茂穂博士(1878-1974)の影響かもしれない。田中博士は1913年に初めて日本産魚類の目録を作成し、日本の近代魚類学を確立した魚類学者である。そもそも阿部博士が東京帝国大学理学部動物学科に入学したのは田中博士の指導を受けるためであった。阿部博士は、学部・大学院を通じて田中博士のもとで先輩の冨山一郎博士(1906-1981)とともに魚類の分類学的研究を行った。
 その後、水産研究所、東京大学総合研究博物館、おさかな普及センター資料館と研究の場は変わっても、60年以上にわたり一貫して魚類の分類に関する研究を行った。博士は、また、水産研究所が東京都中央区勝鬨にあったこともあり、毎朝築地市場に通い、標本採集と同時に魚類に関する様々な情報の収集に務めた。戦後間もなくから始まった、この"市場通い"はその後50年以上も続いた。
長年にわたる分類学的研究のなかで、サメ、トビウオ、ハゼからフグまで33もの新種および亜種を発表した。博士の研究の中では、特にフグ類とトビウオ類に関するものが有名である。
博士は魚類学や魚(あるいは魚食)の啓蒙・普及活動にも熱心で、専門的なものから料理関係まで、数多くの図鑑・辞典類などの執筆・編集・監修を行った。外国産の魚の紹介には特に熱心で、「新顔の魚」などを通じて、たくさんの魚類に和名を与えた。     (『新顔の魚』(復刻版)より)


(付)入手方法について
入用な場合には、実費にて配布しております。
申し込み先:(有)まんぼう社
      262-0045千葉市花見川区作新台6-15-12
      電話043-258-6420 ファクス043-258-6422
      E-mall//manbowsha@manbow-sha.co.jp

定価…4800円十税(税込5040円)
送料…2冊まで300円、3冊以上は出版社負担。
送金方法・郵便振替または銀行振込、現金書留で送金して下さい。入金確認後に発送されます。
郵便振替口座 00130-2-415386 有限会社まんぼう社
銀行振込口座 みずほ銀行 八千代支店 普通1419185 有限会社まんぼう杜
       註…代金の振込手数料は申込者負担。
代金引換宅配便利用の場合
    上記の定価、送料の他に代引手数料が加算されます。
    代引手数料は、2冊まで630円、5冊まで840円、6冊以上は出版社負担



阿部宗明博士が紹介した新顔の魚

 阿部宗明博士は「新顔の魚」で190種の魚を取上げましたが、ここでは、その中で現在も輸入量が多く、一般にも目にする機会の多い魚を選んで紹介します。年号は「新顔の魚」に掲載された年。解説は阿部博士のものを、その当時のままに掲載しました*。また、備考欄にはその魚の最近の状況をまとめてあります。  *掲載にあたっては伊藤魚学研究振興財団の許可を得ました。

アカウオ*(1970年)

       * 標準和名 アラスカメヌケ(『新顔の魚』(復刻版)編集註より)
          
分類と学名:カサゴ目フサカサゴ科メバル属 Sebastes alutus
分布
:宮城県からべ一リング海、カリフォルニア南部
解説
:わが国のメヌケ類によく似たもので、近年漁獲量も消費量も激増した。白身で油気が強い。癖がないので、給食、食堂、一般家庭の惣菜用に広く使用されている。
アラスカ方面には本種に似たものが何種類もあって、わが国にも持帰られているが、その量は本種より遥かに少ない。

備考
:国内やオホーツク海で漁獲されたものが鮮魚で出回るほか、「あかうお」の名でアラスカやカナダ産の冷凍フィレや粕漬が売られています。近い仲間ではモトアカウオ、チヒロアカウオ、アメリカアカウオなども紹介されました。



ウッカリカサゴ(1979年)
  
分類と学名:カサゴ目フサカサゴ科カサゴ属 Sebastiscus tertius
分布:本州中部からインドネシア
解説:大型になるカサゴで、1978年に初めて日本産のカサゴ属の他の2種から区別されて学名を与えられたもの。うっかりするとカサゴと区別しないことになる。胸鰭の軟条数がカサゴより1本多いのが普通で、頭部背面などに青緑の斑点がある。無難な味。
備考:外見ではカサゴとの区別は困難です。遺伝子レベルでの研究もすすめられています。インドネシアにも分布することがわかり、鮮魚で輸入されることがあります。

     

一5一

オキカサゴ(1970年)

          
分類と学名:カサゴ目フサカサゴ科ユメカサゴ属 Helicolenus avius

分布:
天皇海山
解説:日本のユメカサゴに似てうきぶくろがなく、背鰭の棘条数が12本で口の奥や復腔壁が黒い。吻端の左右に瘤状の突起が1個づつあって一寸ホウボウの頭を想起させる。磯のカサゴより皮が軟らかく、油気がある。1970年秋から出回る徴候がみえた。
備考:本種のほかにパタゴニアユメカサゴ、ミナミユメカサゴが紹介されています。これらの魚は互いによく似ており、「あらかぶ」の名で鮮魚や冷凍品が輸入されています。



カラスガレイ(1970年)
          
分類と学名:カレイ目カレイ科カラスガレイ属  Reinhardtius hippoglossoides
分布:
北部北太平洋、北極海、北部北大西洋
解説:最近漁獲量が急激に増加し、切身になって市場に出ている。ヒラメと表示されていることもあるが、少し馴れると両種の区別は比較的容易である。本種はグリーンランドなどで獲れるものと同一種であるというのが最近の学者の意見である。北太平洋では、30数年前にソ連の学者が、その産業上の将来性について予言していたのであった。
備考:冷凍で輸入され、惣菜用の切身や寿司だねに利用されています。最近、カラスガレイの縁側をヒラメとして販売し、問題になったことがあります。北太平洋や北大西洋はカレイの種類が多く、コガネガレイ、シュムシュガレイ、ニシマガレイなども紹介されています。本種を含めてカレイ類の多くは現在でも惣菜用として輸入されています。



カラフトシシャモ(1974年)
          
分類と学名:キュウリウオ目キュウリウオ科カラフトシシャモ属
  Mallotus villosus
分布:北海道のオホーツク沿岸から北極周辺海域
解説:北海道ブームで、シシャモの干物が広く知られるようになってからたちまちシシャモが足りなくなった。代用品として多量に出回りはじめたのが、このカラフトシシャモである。北大西洋と北太平洋に莫大な資源があり、タラ類やクジラの食物として重要。従来人の食用としてはほとんど利用されていなかったもので、甚だ安価である。冷凍品を輸入し、沿岸漁業不振であえぐ漁村などで生干にして、出荷する。シシャモと同様、抱卵した雌が市場に出ている。雄と卵のない雌はフライその他にして弁当のおかずなどに用いられている。シシャモと違って、舌の上に生えている歯が微少であり、鱗が細かい。また全く海だけで一生を終える点もシシャモと違う。やはりシシャモの代用品になっているチカとは腹腔壁が黒いので区別し易く、さらにシシャモと同じような地方から入荷して代用品になっているキュウリウオとは上顎の鋤骨に大犬歯が無い点で区別できる。カラフトシシャモは結構美味であるが、何分スタートが冷凍品であるから、生から作った本物のシシャモとは味も違い、安いのも当然と思われる。
備考:ノルウェーやカナダから冷凍で輸入されています。国内で干物や甘露煮などに加工されたものが出回り、小売店や飲食店でもよく見られます。



キングクリップ(1970年)
          
分類と学名:アシロ目アシロ科 Genypterus capensis

分布:
南アフリカ
解説:1969年頃から日本の市場(東日本より西日本に多いという)に出回っている。わが国のヨロイイタチウオ(「ひげだら」とも呼ばれ、主に料理屋で使う)に近い。白身で油気が少ないので、いろいろな料理に使いやすい。アフリカでは最高の食用魚とみなされるが、漁獲量が減少した。
備考:近縁のミナミアカヒゲも紹介されています。一時期、本種の加工品が「あまだい」として販売され、問題になったことがあります。最近では、輸入量は以前に比べ少ないようです。



ゴウシュウマダイ(1972年)
          
分類と学名:スズキ目タイ科マダイ属 Pagrus auratus

分布:
オーストラリア南部、ニュージーランド
解説:日本のマダイと姿も味も甚だよく似ている。尾鰭後縁の黒い点まで同じである。雄の老成魚では後頭部が著しく隆起する。頭骨、ことに後頭部の隆起の形などに日本のマダイと違うところがある。数年前から冷凍品はかなり多量に日本に出回っていたが、1971年中頃から鮮魚をニュージーランドからハワイ中継で空輸し、東京の市場に出るようになった。空輸時間は16時問位。
備考:1年を通じてニュージーランドから鮮魚が空輸されています。日本のマダイと同種だという研究者がいるほど、マダイとそっくりです。しかし、色がやや薄いこと、雄の額が出っ張ることなどでマダイと区別できます。本種のほかにもタイの仲間が多く紹介されていますが、その中で現在も輸入されているのは、カナリーチダイとヨーロッパマダイぐらいです。



シルバー(1976年)
          
分類と学名:スズキ目イボダイ科 Seriolella punctata

分布:
オーストラリア南部、ニュージーランド
解説:オキヒラスと同様に、日本のメダイやイボダイにやや近く、体表から多量の粘液を分泌するが、肉量が多く、結構美味で、近年かなり広く使われている。
備考:冷凍品が輸入されています。惣菜用として切身などが多く出回っています。近縁の数種類も輸入され、同様に使われています。



タイセイヨウサケ(1983年)
          
分類と学名:サケ目サケ科タイセイヨウサケ属 Salmo sa1ar

分布
:北部北大西洋
解説:1983年にノルウェーで養殖されたものが生で空輸されて築地の魚市場にも姿を見せるようになった。本種は日本人にとってのタイのように、欧米人あこがれの的であるサマン(Salmon)そのものである。天然のものが欧州でも北米でも激減し始めてからかなりの年月を経たが寄生虫の心配もない養殖物が鮮魚として遠く日本へまで届くようになった。
備考:現在ではノルウェーのほか、チリ、タスマニア、カナダ、アメリカなどからも養殖したものが鮮魚で送られてきます。寿司や刺身など生食の好きな日本人にとってなくてはならない魚の1つとなっています。

一8一



タイセイヨウサバ(1984年)
          
分類と学名:スズキ目サバ科サバ属 Scomber scombrus

分布:
北大西洋
解説:日本近海のサバ(特にホンサバ)の漁獲量が近年著しく増加したが、この所減産の傾向が見え始めた。惣菜魚としてはやや高いと感じられるようになって見馴れないタイセイヨウサバの冷凍品が市場に出た。場外でも取引きされた事であろう。頭が小さく、体形だけでも日本のサバとは別種であることがわかる。うきぶくろがない。
備考:惣菜用や加工品として多く出回っています。日本のマサバやゴマサバより脂があり、干物などは日本のものより好まれることがあるようです。マサバに比べ体の縞模様がはっきりしています。



タイセイヨウニシン(1985年)
          
分類と学名:ニシン目ニシン科ニシン属 Clupea harengus

分布:
北大西洋
解説:日本や北米西岸で獲れるニシンとよく似ている。冷凍品として出回っている。脊椎骨数が普通56〜58個(日本のは52〜55個)、腹中線にある特殊な鱗が腹鰭の前にも後ろにもあり(日本のでは後方だけにある)、鋤骨上の歯が日本のよりよく発達している。
備考:冷凍品や卵(数の子)が輸入されています。



ナイルアカメ(1993年)
          
分類と学名:スズキ目アカメ科アカメ属 Lates niloticus

分布:
アフリカ北東部から中部の湖や河川
解説:日本の宮崎県と高知県の大きな川へ遡上するアカメと似ていて、白身で肉量が多く、結構美味。一寸癖があるといわれているが、調理の仕方によっては外食産業などで大いに消費される可能性がある。近年日本へ輸入されているのはすべて無頭である。
備考:エチオピアなどで養殖されたものが、冷凍フイレで輸入されています。スズキの代用品として、惣菜用の切身などにされています。



ナツビラメ(1982年)
          
分類と学名:カレイ目ヒラメ科ヒラメ属 Paralichthys dentatus

分布:
北米大西洋岸
解説:甚だ美味で、(米国ではオヒョウを除いて)他のヒラメやカレイより喜ばれる。釣りの対象としても人気がある。
その他:鮮魚が一年を通して空輸されています。ヒラメ類は寿司や刺身など生食がほとんどなので、輸入されるものも大半が鮮魚です。ナツビラメのほかカリフォルニアビラメ、セキドウビラメ、イシビラメが紹介されました。
現在では、ヒラメも中国や韓国から輸入されています。



ニシマアジ(1979年)
          
分類と学名:スズキ目アジ科マアジ属  Trachurus trachurus

分布:大西洋東部
解説:日本のマアジとよく似ていて、近年冷凍品が輸入されている。頭と眼が大きい。
備考:オランダなどから冷凍で輸入され、干物などに加工されています。
タイセイヨウサバの場合と同じく、マアジより脂があるので、ニシマアジの方が好まれることもあるようです。世界にはマアジの仲間が約12種いて、どれも日本のマアジとよく似ています。ニシマアジのほかタイセイヨウマアジとニュージーランドマアジも紹介されました。



バターフィッシュ(1970年)
          
分類と学名:スズキ目マナガツオ科 Peprilus triacanthus

分布:
北米大西洋岸
解説:1969年後半から日本の市場に冷凍品がかなり多く出回るようになった。米国でも最も美味なものの一つとする人もいるが、正当に評価されない場合もあった。体が左右にやや薄いが、内臓が小さくて肉の分どまりはよく、鱗や骨がさほど固くないので食べやすい。
備考:イボダイの代用として輸入される魚はすべて「しず」と呼ばれています。バターフィッシュも「しず」の一つですが、最近では、2〜3の近縁種がペルーなどから多く輸入されています。干物などに加工されます。



ホキ(1983年)
          
分類と学名:タラ目メルルーサ科 Macruronus novaezelandiae

分布
:ニュージーランド、オーストラリア南部
解説:資源量がかなり大きいといわれ、練製品原料としても注目されている。肉は水分が多いが結構美味。
備考:冷凍品が輸入されています。現在では練製品の原料としてよりも、惣菜用として切身やフライにしたものが多く出回っています。



マルアナゴ(1989年)
          
分類と学名:ウナギ目ウミヘビ科ウミヘビ属 0phichthus remiger

分布:コスタリカからチリ
解説:爬虫類のウミヘビと魚のウミヘビとあつて、時折話が通じないことがある。ここに紹介するのは魚の方で、鰓と鰓孔がある。日本ではウミヘビ科の魚を食用にすることは無いと思われるが、本種は美味だと南米の本に書いてある。最近マアナゴの資源が減少気味であるらしく、その代用として本種が登場したようである。
備考:冷凍品や加工品が輸入されています。マアナゴの代用として、煮アナゴや寿司だねなどに利用されています。



マジェランアイナメ(1972年)
 

分類と学名:
スズキ目ノトテニア科  Dissostichus eleginoides
分布:
南半球南部
解説:犬歯がよく発達し、吻が長く、鱗が細かく、下方の側線が甚だ長い。近似種のDissostichus mawsoni Normanは南極大陸沿岸の水深20〜220mから知られ、全長150cm以上、体重20s以上にもなる。両種とも食用魚として重宝なものと思われる。
備考:冷凍品がチリなどから輸入されています。ふつう「めろ」という名前で売られています。資源は減少傾向にあって、漁獲が制限されています。
最近では、近縁のDissostichus mawsoni (ライギョダマシ)の方が多く輸入されています。



ミナミオオスズキ(1988年)
          
分類と学名:スズキ目イシナギ科  Polyprion oxygeneion

分布:
南半球南部
解説:日本のアラによく似ていて、鰓蓋にある棘が強大で鋭く尖る。肉は白身で、味は大型の冷凍品では日本のアラやスズキに及ばない。太平洋の似た種類の若魚は難破船の破片その他の漂流物についているのでWreckfishと呼ばれる。
備考:現在では、鮮魚がニュージーランドから空輸されています。冷凍品ではないので評価は上がり、アラの代用品として販売されています。近縁のニュージーランドバスも鮮魚で入荷しています。



メルルーサ(1970年)
          
分類と学名:タラ目メルルーサ科メルルーサ属 Merlutius capensis

分布:
南アフリカ南部
解説:欧州大西洋側で有名なヘイク(スペイン語でメルルーサ)によく似ている。いつの間にかメルルーサの名で日本の市場に出回るようになった。日本の漁船が大量に漁獲し、頭や内臓などを取り除いたものの冷凍品を日本へ持ってくる。鮮度のよいものはなかなか美味といわれている。
備考:メルルーサの仲間は世界で13種知られていて、そのうちの6種が紹介されています。どの魚も互いによく似ていて種ごとの特徴が乏しいためか、阿部博士は和名に番号をつけました。メルルーサ8号(セネガルヘイク)まであります。メルルーサ類は、現在でも惣菜用などに冷凍で輸入されています。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 次回の展示テーマ
  魚には骨がある 
   2003年7月1日〜9月30日
 魚を煮たり焼いたりして食べるとき、骨が気になったことがあるかもしれません。骨の大きさや強さ、骨のある場所を知れば、もっと楽しく食べることができます。魚の体のつくり、なかでも魚の骨のしくみを知って、魚を美味しく食べましょう。
      −12一