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おさかな情報 No.21   2003年1月

2002年度第4回展示テーマ    魚の旬 

             目      次
はじめに・・・・・1  魚の味を考える一田中茂穂
  「食用魚の 味と栄養」(1943)より一(その4)
「まとめ」・・・・2
築地魚市場の冬の魚・・・4
築地魚市場おさかなニュース
       「貝の旬冬」・・・・・・12
 
次回の展示テーマ・・・・12



はじめに
 フグちり(トラフグ・マフグなど)・タラちり(マダラ)・アンコウ鍋(キアンコウ・アンコウ)・アラ鍋…冬は鍋物の季節です。多くの魚が春に産卵するので、冬が旬という魚が多くなります。
魚の旬をメインテーマとした今年度最後の展示として、アカアマダイ・アカムツ・キチジ・キンメダイ・クロマグロ・ヒラメ・ブリ・ヤナギムシガレイ・ムツ・ワカサギ…など、冬を代表する魚を紹介します。

 

  アカアマダイ                   クロマグロ
 
         ホウボウ                    アンコウ
       フグ                      ヤナギムシカレイ図
                     
                          

 
           一1一


魚の味を考える
 田中茂穂食用魚の味と栄養(1943)より一(その4)
 当館の名誉館長阿部宗明博士(1911-1996)の恩師で、“日本魚類学の父" と呼ばれる田中茂穂博士(元東京大教授、1878-1974)は、1913年に初めて日本産魚類の目録を作成し、日本の近代魚類学を確立した魚類学者として有名です。同時に、一般向きの図鑑から魚の方言や味に関するものまで、数多くの啓蒙的な書物を出版したことでもよく知られています。
魚の味に関するものだけでもいくつかの著作がありますが、1943年(昭和18年)の「食用魚の味と栄養」はその集大成といえるものです。このなかで博士は101項目にもわたって魚の味について議論しています。
これまで3回にわたって、「魚の旬(東京・大阪・京都の旬の違い)」・「魚の名物」・「珍味」について、「食用魚の味と栄養」における博士の議論を紹介してきましたが(おさかな情報No.18-20)、今回は最終回として、本書のなかで行った101項目の議論をまとめた「魚の味に関する梗概及び結論」を紹介します。

 
「美味と不味との岐(わか)れるのは大体次の13ヶ条による」         

 ○ 魚の性質による  
 
(1)魚の種類による
 
 「魚はそれぞれ特有の味を持っている」 ので、種類によって私達が美味あるいは不味と思うのは当然かもしれません。

 (2)水温による
 「(日本産魚類の大部分では)熱帯性の魚は夏に、寒帯性のものは冬に美味である」

 
(3)魚の年齢(すなわち老幼)による
 「大体に青春期の魚が美味で、老魚も幼魚も不味である」
しかし時には、シラス干し(あるいはチリメンジャコ:カタクチイワシやマイワシなどのイワシ類の仔・稚魚の乾燥品)のように「幼魚(又は稚魚)が成魚より美味」 なこともあります。これは成魚とは違った美味しさを持っていると考えるべきでしょう


  
(4)雌雄による
 
 博士によれば、「一般に雌が美味であるが、アユ・サケ・マツカワなどは雄が美味」 といいます。もちろん、雄の方が美味しいという人もいます。

 
(5)産卵期による
 
 「産卵直前の時期かまたは孕卵の熟した時期の直前期に美味で、放卵後は一時痩せて、不味となる」 よく知られているように、産卵期は旬を考える時のもっとも大切な基準となっています。

  
(6)魚の住所による
 
 「同種または近似種のものでも、その住所によって味の相違することがある」・「美味の魚は浅海魚に多い」・「著しく美味のものと著しく不味の魚も他の住所のものよりも浅海魚に多い」 カサゴ(磯にすむ、黒ずんでいるものの方が、やや沖合いにすむ、赤みが強く美しいものより美味)・アカアマダイとキアマダイ(浅い方にすむアカアマダイの方が美味)・マダイとキダイ(浅い)方にすむマダイの方が美味)などが例としてあげられています。マダイも「磯にいる色の悪い方が沖にいる色の美しいものより美味」と博士は述べています。

 
(7)魚の摂(と)る食物による
 これは、養殖魚の味を考えるとよく理解できます。天然魚と養殖魚の味の違いのもっとも大きい原因は餌にあります。しかし最近では、餌を含む養殖環境の改良により、天
然ものと味の区別の難しい魚もあります。

 
○ 料理と魚の味との関係
 
(8)料理法による
 「いかに美味のものでも、これに相当の料理を加えなくては美味が現れない。換言すると、いかに美味のものでも料理法を誤ると、不味となる」私達は幸いにも、長い魚食の伝統を持っています。さらに明治以降、海外の様々な料理法を取り入れてきました。日本はおそらく世界中でもっとも多様な魚の料理法を熟知している人々のすむ地域です。しかし、だからといって私達が全てその料理法を知っているわけではありません。日頃から、「美味しく食べる」 ための知識を蓄えたり、新しい工夫が必要であることはいうまでもありません。

 
○ 多少魚の性質にも関係するが大に人々の嗜好による
 
(9)魚の味は人々により多少、相違する
 味覚は全ての人で一定とは思えません。また、同じ人でも体調などで味覚が変わる可能性があります。ただし、同じ地域にすんでいる人はある程度同じような味覚を持っているのも事実のようです。
 ーーー (10)から(13)までは、(9)を細分したものです。

 
(10)人の年齢の相違によって味覚は相違する
 幼年期、少年期、青年期、壮年期、老年期と、人は成長にともなって食べ物の嗜好が変わるのがふつうです。魚についても、美味しいと感じる種類や料理法も変化します。  

 
(11)習慣による
 食べ慣れたものが美味で、食べたことのないものは美味のものでもその味がわからない、ということです。これは、たとえていえば「故郷の魚は美味しい」ということで、名物(時には珍味も)が生まれる理由でもあります。

 
(12)練習によって美味を覚えるようになる
 「美味のもので、食べ慣れないため不味のもののなかには食べ慣れると、美味を感じるようになることが多い」 くさやの干物やフナ鮨などがこれに当たるかもしれません。

 
(13)嗜好の一部は時代と共に多少変遷する
 マグロ類が典型的な例です。明治以前は評価の低い魚でしたが、現在では最も高級な魚の一つになっています。 美味と不味の基準として、「これだけでは不充分である」としつつも、「大体は間に合う」と博士は考えています。
魚を中心とした食事が栄養学的に優れていることは、多くの人が認めるところです。田中博士の議論の当否はさておくとしても、いつまでも魚を美味しく食べるには、時には「魚の味を考える」必要があるかもしれません。

 
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    築地魚市場の 冬の魚

  アカアマダイ
アマダイg アマダイ
             
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:山口県、長崎県、島根県       (2001年、以下同じ) 
生産量:
統計資料なし(2000年、以下同じ) 
産卵期:6〜10月                
生態:
千葉県から東シナ海まで分布し、水深100〜130mの砂泥底に穴を掘ってすみます。主に甲殻類やイカ、クモヒトデなどの底生動物を食べます。浮遊性の卵を産みます。1年で 12cm,2年で18cm,3年で22cm,8年で32cmに成長します。
主な料理:蒸し物、椀だね、塩焼き、干物、みそ漬。
その他:日本近海で漁獲されるアマダイ類は、アカアマダイがおよそ8割、 シロアマダイが2割、キアマダイはごくわずかです。味はシロアマダイ、アカアマダイ、キアマダイの順によいといわれます。 京都ではアマダイのことを「ぐじ」と呼びます。冬の若狭湾でとれた「ぐじ」は一塩されて京都に運ばれます。塩をふることで身も味も引き締まり、そのまま焼いた「ぐじ焼き」や吸物にされます。


  アカムツ
アカムツ
        

主な産地:長崎県、福岡県    東京都中央卸売市場入荷量:統計資料なし
生産量:統計資料なし
産卵期:7〜10月                
生態:北海道から東シナ海に分布し、水深80〜150mの海底近くにすみます。主に小魚や甲殻類、イカなどを食べます。1年で10cm,2年で16cm,3年で21cm,5年で27〜30cmに成長します。
主な料理:たたき、煮付け。
その他:口の中が黒いので、金択などでは「のどぐろ」と呼ばれています。 伊豆諸島や小笠原諸島から入荷する「あかむつ」はアカムツ(ホタルジャコ科)とは別種のハチジョウアカムツ(フエダイ科)です。

 
  アラ
アラ

主な産地:長崎県、福岡県  
生産量:統計資料なし  東京都中央卸売市場入荷量:統計資料なし
産卵期:5〜8月 
生態:小さいうちは、浅海にいますが、成長するにつれて水深100〜140mの貝殻混じりの砂底域に移ります。小魚などを食べます。小さいうちは、体に縞模様があり背鰭や尾鰭にも白黒の模様がありますが、大きくなるにつれて模様はぼやけ、全身赤みがかった灰色になります。1m以上になります。
主な料理:刺身、塩焼き、ちり鍋、湯引き。
その他:九州では本種のほかにマハタやクエなどの大型のハタ類も「あら」と呼ぶことがあるので注意が必要です。また、ニュージーランドから「あら」として入荷するものはミナミオオスズキでアラとは別種です。


  イトヨリダイ
イトヨリグラフ イトヨリ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:長崎県、鹿児島県、福岡県
生産量:統計資料なし  
産卵期:4〜8月
生態:本州中部から南シナ海まで分布します。水深50〜100mの砂泥底にすみます。甲殻類やゴカイ、小魚などを食べます。産卵期になると水深20〜30mの浅場に移り、浮遊性の卵を産みます。1年で12cm 2年で22cm,3年で30cm,6年で46cmに成長します。
主な料理:刺身、塩焼き、煮物、腕だね、干物。
その他:日本近海で漁獲され食用にされるイトヨリダイの仲間には、ほかにソコイトヨリがあります。近年では、東南アジアからほかの種類も輸入されています。

 
  キアンコウ
アンコウグラフ アンコウ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:青森県、千葉県、福岡県
生産量:統計資料なし
産卵期:2〜6月  
生態:北海道以南の日本各地と中国沿岸に分布します。水深50〜100mの砂泥底にすみます。ほかの魚やイカなどを食べます。卵はゼラチン質に包まれ、長さ3〜5m、幅25〜50cmの帯状の塊で海中に漂っています。ふ化した稚魚は5cmぐらいまでは浮遊生活をしていますがその後海底に移ります。背鰭の一部が変化した“釣ざお"を使って餌の魚を誘き寄せて食べます。
主な料理:鍋物、湯引き。
その他:江戸時代、水戸藩では冬になると将軍家にアンコウを献上していました。江戸時代の川柳に「魚偏に安いと書くのは春のこと」とあります。春になると値段が下がるので安い魚と書くという酒落です。 アンコウは骨以外すべて食べられます。皮、鰭、鰓、肉、胃、肝 臓、卵巣の7つの部位を、鮟鱇の七つ道具と呼ぶことがあります。 一般に食べられているアンコウにはもう1種類、アンコウがあり ます。数はキアンコウより少ないようです。外見も似ているので築地市場では、どちらも「あんこう」と呼んで区別していません。

 
  キチジ
キチジg キチジ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:北海道県、宮城県、青森県
生産量:統計資料なし
産卵期:2〜5月                
生態:千葉県から北海道、千島列島に分布します。水深150〜1200mの海底近くの岩礁にすみます。エビや小魚を食べます。浮遊性の卵を産みます。1年で8cm,2年で12cm,3年で15cm、その後1年に1〜2cmづつ成長して30cmぐらいまでなります。
主な料理:刺身、煮付け、唐揚げ、干物、鍋物、蒲鉾。
その他:キチジの漁獲量は1960〜1970年代から減少し始め、現在では数も少なく高級魚となっています。このため、カナダやアラスカから近縁のアラスカキチジやヒレナガキチジが輸入されています

 
  キンメダイ
キンメg キンメ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:静岡県、高知県、千葉県       
生産量:統計資料なし  
産卵期:7〜9月
生態:大西洋からインド洋、西太平洋に広く分布します。水深200m以深を遊泳しています。主に小型の甲殻類やイカ、小魚などを食べます。 浮遊性の卵を産みますが、成長や回遊など詳しい生態はわかっていません。
主な料理:刺身、煮付け、鍋物、塩焼き、干物。

 
  クロマグロ
クロマグロg マグロ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:高知県、宮城県、青森県  
生産量:16692d(国内)
産卵期:5〜7月                
生態:主に太平洋と大西洋の赤道より北側の水温12〜22℃に分布します。外海を泳ぎ回り、小魚などを食べます。浮遊性の卵を産みます。太平洋の産卵場は沖縄からフィリピン東方の海域です。生まれた稚魚は餌を求めて日本列島を北上し、北海道に達します。冬になると九 州南岸まで南下します。毎年このような回遊を続け、4歳には成熟し産卵場に移ります。
主な料理:刺身、煮付け、塩焼き。
その他:現在では、冷凍技術が発達したり輸入や養殖物もあって1年じゅう出回るため、あまり季節感がありません。本来、日本近海で漁獲されるクロマグロは、産卵に備え栄養を貯えている冬が旬ということになります。ところで「夏は鰹に冬鮪」といわれるようになったの は幕末のことで、それまでは非常に下等な魚とされていました。

 
  ハタハタ
ハタハタg ハタハタ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:兵庫県、鳥取県、秋田県
生産量:6652d
産卵期:11〜12月
生態:日本海からアラスカまで広く分布します。水深450m以浅の海底近くにすみ、砂に潜ることもあります。産卵期になると沿岸の浅瀬に群れをなして押し寄せ、産卵します。卵は粘着性があり、ゴルフボール大の塊となって海藻などに付着します。1年で6cm、2年で12cm、3年で16cm、4年で20cmぐらいに成長します。
主な料理:塩焼き、しょっつる鍋、ハタハタずし、味噌田楽、干物、塩漬け、粕漬け、味噌漬け、佃煮。卵はブリコ。
その他:“秋田名物八森鰰(はたはた)男鹿で男鹿ブリコ…"有名な秋田音頭の一説です。ハタハタは、北海道から山陰までの各地で漁獲されますが、秋田では最も珍重され、正月にはなくてはならない魚です。冬の日本海では、雪が降る前に雷が鳴って海が荒れることがあります。これを雪おこしと呼びます。ハタハタは雪おこしとともにやってくるといわれます。 ハタハタの卵は「ぶりこ」と呼ばれます。その由来は、粘着性でバラバラにならないことから離れない子、不離子となった、噛むとぶりぶり音がするから、江戸時代に藩主が卵を禁漁にしたのでブリの卵だといってごまかしたなどの説があります。

 
 ヒラメ
ヒラメg ヒラメ
            東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:青森県、北海道、愛媛県
生産量:7572d(国内、養殖をのぞく)
産卵期:産卵期:1〜7月  
生態:サハリンから九州、朝鮮半島、香港まで分布します。水深200mまでの砂底にすみます。小魚やエビ、イカなどを食べます。浮遊性の卵を産みます。産卵期は東シナ海では1〜3月、北海道では6〜7月。成長は南ほどよく、烏取県では1年で24cm,2年で35cm,3年で45cmになりますが、北海道では3年で35cmまでです。春に水温が上がるとともに浅場に移り、秋には再び深場に移動します。また、季節的な移動のほかに数百q以上の長距離の回遊をするものもいます。
主な料理:刺身、煮付け、酒蒸し、ムニエル、フライ。
その他:「知恵のなさ四月ひらめの刺身なり」と江戸時代の川柳には詠まれています。その当時江戸に運ばれたヒラメは、関東近辺のものであったと思われますから、4月には産卵が終わり痩せ細ったヒラメの刺身は美味しくなかったことでしょう。今では養殖や輸入が多くなり、1年じゅう食べられるようになりました。

 
  フグ類
 日本近海には51種のフグが分布しますが、そのうち食用にできるのは17種です。
フグg フグ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:富山県、福井県、福岡県
生産量:10989d
産卵期:3〜5月(トラフグ) 3〜4月(マフグ)
生態:食用にできるフグのほとんどは北海道から九州、朝鮮半島から中国沿岸に分布します。沿岸にすむもの(ヒガンフグやショウサイフグなど)とやや沖合にすむもの(トラフグやマフグなど)があります。甲殻類や小魚底生動物などを食べます。沿岸の海底で粘着性の卵を産みます。トラフグは1年で24cm,2年で32cm,3年で41cm,8年で62cmに成長します。
主な料理:刺身、ちり鍋、雑炊、唐揚げ、煮凝り、ひれ酒、干物、天ぷら。
その他:「雪の鉄砲値をきいてびっくりし」という江戸時代の川柳があります。鉄砲というのはフグのことで、どちらも当ると死んでしまうと言うことです。文化11年(1814)の話にフグの初物は1匹で200〜300文するとあり、当時の米1升(120文)よりも高価なものでした。

 
  ブリ
ブリg ブリ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:岩手県、長崎県、京都府
生産量:77461d
産卵期:2〜3月
生態:北海道から九州、朝鮮半島に分布します。小魚やイカなどを食べます。岸寄りの海面近くを泳ぎ、春、夏には餌を求めて北上し、秋冬には産卵または越冬のために南下します。1年で30cm,2年で50cm,3年で60cmに成長します。
主な料理:刺身、塩焼き、照焼き、あら炊き、かぶらずし、巻き鰤(塩漬けにして乾燥したブリをワラで巻い)たもの)。
その他:
ブリは成長に伴って名前の変わる出世魚の1つです。関東では10〜20cmを「わかし」、30〜40cmを「いなだ」、50〜60cmを「わらさ」、それ以上を「ぶり」と呼びます。関西では、わかな→つばす→はまち→めじろ→ぶり、となります。 ブリは師走にとれるから鰤と書くといわれます。西日本での漁獲が多く、これらの地方では正月の魚としてブリが使われます。

 
 
 
ホウボウ
ホウボウg ホウボウ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:
三重県、和歌山県、愛知県
生産量:
統計資料なし
産卵期:
12〜4月
生態:
生態:北海道南部から東シナ海に分布します。水深200m以浅の砂底にすみ甲殻類や小魚を食べます。浮遊性の卵を産みます。1年で14cm,2年で20cm,3年で24cmに成長します。
主な料理:刺身、塩焼き、吸物、腕だね。

 
  ホツケ
ホッケg ホッケ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:北海道、青森県、新潟県
生産量:165118d
産卵期:9〜12月
生態:茨城県以北、黄海、日本海、オホーツク海に分布します。岸近くから水深200mまでの岩礁にすみます。小魚、イカ、甲殻類などを食べます。卵は4000粒前後の塊で岩のくぼみや石のすき間などに産みつけられます。1年で20cm,2年で27cm,3年で30cmに成長します。
主な料理:煮付け、フライ、つみれ汁、刺身、干物。

 

 
 
マダラ
マダラg タラ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:北海道、宮城県、岩手県
生産量:51052トン
産卵期:12〜3月
生態:東北地方以北、べ一リング海からカリフォルニア州まで分布します。岸寄りの水深200m前後の海底にすみます。魚、甲殻類、 イカ、貝類などを食べます。卵は沈性卵で、泥や砂底に産卵します。2年で30cm,5年で60cm,10年で1mに成長します。
主な料理:ちり鍋、コブ締め、酒蒸し、塩焼き、煮付け、棒だら。
その他:タラ類の白子(精巣)は、その形から「菊」、精巣が発達(はったつ)しているので「たつ」と呼ばれます。マダラとスケトウダラの白子は、大きさが異なるので区別できます。 白子(精巣)の方が真子(卵巣)より珍重されるので、雌雄で値段が異なります。ところが、マダラは体色、形、大きさなどに雌雄の差がないので外見からは区別できません。 タラは雪の降る季節にとれるので、漢字では鱈と書きます。


 
  ムツ
ムツg ムツ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:長崎県、千葉県、伊豆諸島
生産量:
統計資料なし
産卵期:11〜12月
生態:
北海道から東シナ海に分布します。水深200〜700mの岩礁付近を泳いでいます。小魚、イカ、甲殻類などを食べます。幼魚は沿岸の浅海に群れていますが、20coを越えると深場に移ります。
主な料理:刺身、塩焼き、煮付け。
その他:
ムツにはムツとクロムツの2種がありますが、市場などではどちらも「黒むつ」と呼ばれて区別されていません。

 
 

  ヤナギムシガレイ
ヤナギカレイg ヤナギ
            
東京都中央卸売市場の月別入荷量(トン)
主な産地:福島県、島根県、茨城県
生産量:
統計資料なし
産卵期:
10〜12月
生態:
北海道南部から東シナ海に分布します。水深100〜200mの砂底にすみます。底生動物を食べます。浮遊性の卵を産みます。
主な料理:干物。
その他:
若狭がれい、柳がれい、笹がれいなどと呼ばれます。

 

  ワカサギ
ワカサギ
  

主な産地:青森県、北海道、滋賀県
生産量:2124d
産卵期:
2〜6月
生態:
島根県・千葉県以北、北海道までの河川や湖、内湾の沿岸に分布します。主に動物プランクトンを食べます。産卵期は北に行くほど遅 くなっています。卵は粘着性で、砂れきや水草などに産みつけられます。生まれてから海に下り、産卵前に川に上る回遊型と、海に下らない陸封型があります。寿命はふつう1年ですが、中には2〜3年生きるものもいます。
主な料理:塩焼き、南蛮づけ、甘露煮、フライ。
その他:氷結した湖面に穴を開けてワカサギを釣るのは、冬の娯楽の1つで、冬の風物詩となっています。

 

    そのほかの冬の魚

種類  産卵期 主な産地 主な料理
アコウダイ 12〜4 宮城県、静岡県 煮付け、粕漬け
アカヤガラ 3〜8 長崎県、三重県 刺身、椀だね
カタクチイワシ 1〜5 千葉県、愛媛県 目ざし、刺身、つみれ
キダイ 6〜11 石川県、高知県 塩焼き、刺身
ギンブナ 3〜5 滋賀県、茨城県 塩焼き、甘露煮
ギンポ 不明 千葉県、宮城県 天ぷら、塩焼き
クエ 不明 三重県、静岡県 刺身、ちり鍋、塩焼き
コマイ 1〜3 北海道 干物、鍋物、ルイベ
スケトウダラ 12〜4 北海道、青森県 練製品、鍋物、タラコ
チカ 3〜5 北海道、青森県 天ぷら、塩焼き、個煮
トクビレ 不明 北海道 軍艦焼き、刺身、鍋物
トゲカジカ 12〜2 北海道、青森県 味噌汁、鍋物、刺身
ホテイウオ 12〜4 北海道 鍋物、酢みそあえ
メダイ 12〜1 静岡県、高知県 刺身、塩焼き、粕漬け
ヨロイイタチウオ 不明 長崎県、福岡県 刺身、蒸し物

参考資料
阿部宗明・奥谷喬司・鼠田正倫.1987.材料料理大事典魚介I・U.学習研究杜 落合明・田中克.1998.新版魚類学(下)改訂版 恒星社厚生閣. 鴻巣章二(監)1994.魚の科学.朝倉書店. 更科源蔵ほか(監).1982.週刊朝日百科世界のたベもの日本編 郷土の料理@〜P.朝日新聞杜 篠崎晃雄.1994.おもしろいサカナの雑学辞典.新人物往来杜 東京都中央卸売市場経営管理部業務課.2001.東京都中央卸売市場年報(水産物編). 長澤和也・鳥澤雅(編).1991.漁業生物図鑑北のさかなたち・北日本海洋センター・ 農林水産省統計情報部,2002.平成12年漁業・養殖業生産統計年報・ 山田梅芳ほか.1986.東シナ海・黄海のさかな.水産庁西海区水産研究所・

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 === 築地魚市場おさかな二ユース ===

貝の旬 冬

 
冬に旬となる貝の多くは北の貝です。巻貝ではバイやツブと呼ばれるエゾバイ科の貝です。エゾバイ、エゾボラ、エッチュウバイ、ヒモマキバイなどその種類は多く、築地市場に入荷するものだけで50種もあります。二枚貝では石垣貝とも呼ばれるイシカゲガイ類などです。北の貝以外にはマガキ、タイラギ、ミルクイ、アゲマキなどがあります。シジミは種類によって旬が異なりますが、純粋な淡水性のマシジミは冬が旬です。寒い時期に美味しくなるので「寒しじみ」と呼ばれることもあります。ホタテガイの旬は、産卵期(4〜6月)前の冬から春といわれています。最近の研究では、ホタテガイ貝柱の旨味成分であるグルタミン酸などは、1年のうち夏に最も多くなることがわかりました。

 
 エゾバイ(いそつぶ)   エゾボラ(まつぶ)   エッチュウバイ(シロバイ)


 ヒモマキバイ(とうだいつぶ)  ホタテガイ エゾイシカゲガイ(いしがきがい)


参考資料
阿部宗明・奥谷喬司・武田正総.1987.材料料理大事典魚介I・U.学習研究社・ 奥谷喬司(編),1987.水産無脊権動物U 有用・有害種各論.恒星社厚生閣・ 多紀保彦・奥谷喬司・近江卓(監).1999.食材魚貝大百科 第2巻 貝類十魚類・平凡社・ 木村稔・今村琢磨・成田正直・潮秀樹・山中英明.2002、ホタテガイ貝柱成分の季節変化。日本水産学会誌。 68(1):72-77
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 次回の展示テーマ
  「阿部宗明博士『新顔の魚』の復刻」 
   2003年4月1日〜6月30日
 当館名誉館長の阿部宗明博士(1911-1996)のライフワーク「『新顔の魚』1970-1995」が、伊藤魚学研究振興財団により復刻されました。展示では、この出版を記念して、『新顔の魚』(復刻版)とともに、いくつかの興味深い博士の“新顔"の魚を紹介します。

      −12一