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おさかな情報 No.17   2002年1月

2001年度第4回展示テーマ    サケ.マス
             目      次
はじめに..............1 
世界と日本のサケ,マス類 ...2  
サケ・マス類の生産........4
築地魚市場のサケ・マス類....5  
「サケとマス/Salmon(サーモン)とTrout(トラウト)」..11
築地魚市場おさかなニユース
       「スギ」........12
次回の展示テーマ........12

ニジマス







       ニジマス(片山浩)

はじめに

 正月用品として欠かせない“あらまきざけ”(サケ(シロザケ))、渓流にすむ ヤマメやアマゴ、長良川のシンボル・サツキマス、鱒鮨(ますずし)にするサ クラマスなど、サケ・マス類は私たちに大変なじみの深い魚です。
日本人が食 料として利用してきた歴史も長く、縄文時代の遺跡からもサケの骨が出土しま す。サケは、奈良時代から朝廷への貢物などとして近畿地方まで流通しまし た。そして、江戸時代には東日本各地の河川で漁獲されるようになり、庶民の 食べ物になったといわれています。
明治時代には、正月を祝う魚として「西のブリ、東のサケ」といわれるようになりました。 明治時代にはサケ・マス類の人工ふ化技術がアメリカから導入されました。 放流事業の成功により、現在、サケの供給量は安定していますが、同時にタイ セイヨウサケ・ベニザケ・カラフトマス・スチールヘッドなど多くのサケ・マ ス類が輸入されています。 展示では、築地魚市場に入荷する種類を中心にサケ・マス類を紹介します。


         サケ 「梅園魚品図正」 「毛利梅園、1835)より

           一1一


世界と日本のサケ・マス類

 サケ・マス類はサケ科魚類のことで、世界中で11属約70種が知られていま す。サケ科魚類の特徴は、背鰭(せびれ)と腹鰭は体の中央付近にある、すべ ての鰭に棘がなく、軟条(なんじょう、軟らかいひれすじ)だけからなる、脂 鰭(あぶらびれ)があることなどです。多くの種類では、若魚の体側にパー マークと呼ばれる、小判形の黒い斑紋があります。成熟すると、雄の顎が曲 がって「鼻曲がり」になります。すべて肉食性です。
 サケ・マス類には、卵から幼魚まで川で過ごし、海に下って成長したのち、 生まれた川に戻って産卵するもの(降海型)と、海に下ることなく、一生淡水 域で過ごすもの(陸封型)とがいます。同じ種類にも両方の型がみられます。


 シ
ナノユキマス(コレゴヌス) ステノドゥス   コクチマス   サケ


 
カワヒメマス(グレイリング) プロソピウム   イトウ     イワナ


日本産サケ科魚類(3属16種および亜種)  
イトウ属
 イトウ  

サケ属
  サケ・ベニザケ(陸封型:ヒメマス)・クニマス(絶滅)・カ ラフトマス・マスノスケ・ギンザケ・サクラマス(ヤマメ)・ サツキマス(アマゴ)・ビワマス

イワナ属
 アメマス(エゾイワナ)・オショロコマ・ミヤベイワナ・ヤマ トイワナ・ニッコウイワナ・ゴギ

回遊:サケ・マス類について興味深い問題は「どのようにして母川に帰ってく るのか」ということでしよう。たとえば、サケは九州北部以北、朝鮮半島南端 からカリフオルニアまで分布していますが、日本の河川で生まれたサケは、北 緯40度以北の北太平洋中西部まで回遊します。多くのものは3年後に生まれた 川あるいは放流された川(母川)に帰ってきて産卵後に死亡します。  
 1950年代から、サケ・マス類が母川の水の臭いを記憶していることが、いろ いろな実験で少しづつ明らかになってきました。ただし、嗅覚が感知する物質 (母川物質と言います)は解っていません(生田、2000)。それでは、母川 の臭いの届かない数千kmも離れた北太平洋で何を手がかりに故郷の方向を知 るのでしようか。いくつかの考えがあります。(1)太陽コンパス(ミツバチ が仲間に花畑の場所を伝えるときや渡り鳥が渡りの方角を知るときに利用する といわれている)(2)海流コンパス説(海流に沿って回遊している)(3) 磁気コンパス説(地球の磁気を利用している)(4)視覚(地形を記憶してい る)。今のところ、1つの考えだけでは説明できません。「サケはそのもてる すべての感覚能力を駆使して」(生田、2000)生まれ故郷に帰ってくるので しょう。

               一2一




  日本周辺生まれのサケの回遊経路(米盛、1975)。数字は月。

移植:サケ科魚類はもともと北半球だけすむ魚ですが、多くの漁業上の重要種 やスポーツフィッシングの対象種を含むため、世界各地に移植が盛んに行われ ました。その結果、現在ではチリ・ニユージーランドなど南半球各地にまで分 布しています。日本へも、1877年ニジマスがアメリカから移植されて以来、多 くの種類がアメリカやヨーロッバから移植されました。


日本に移植された主なサケ科魚類
 
サケ属   ニジマスくアメリカから>

 
タイセイヨウサケ属 ブラウントラウト(トラウトの陸封型)<ヨーロッパから>
 
イワナ属      カワマス・レイクトラウトくアメリカから>
 
コレゴヌス属    シナノユキマスくヨーロッパから>  



    ニジマスの自然分布と移植地。
原産地、移植地

放流:日本のサケの資源量は人工孵化放流により安定しています。1980年代後 半から毎年およそ20億尾放流され、5〜9千万尾(2.5〜4.5%)が母川に帰っ てきているからです(生田、2000)。

参考資料
遊磨正秀・生田和正.2000.ホタルとサケ.岩波書店.
中坊撤次・望月賢二.1998.日本動物大百科6 魚類.平凡社.


            一3一


サケ・マス類の生産

 サケ・マス類は、水産上重要な種類が多く、世界各地で漁業や養殖の対象と されています。世界のサケ・マス類の生産量は、近年は増加傾向にあり、この 10年問でおよそ2倍の量になっています。1995年では約208万トンでした。ア メリカの生産量が最も多く(56.4万トン)、次いで日本(35.8)、ロシア (33.7)、ノルウェー(28.3)、チリ(14.8)、カナダ(10.7)でした。魚種 別に見ると、タイセイヨウサケが最も多く(47.8万トン)、次いでサケ (42.4)、カラフトマス(39.5)、ニジマス(36.1)、ベニザケ(19)、ギン ザケ(8.7)、コレゴヌス類(5)でした。
 日本の生産量は、ここ10年間30万トン前後で推移しています。最近では1996年 に約40万トンを記録してから徐々に減少傾向にあり、1999年では23.4万トンでし た。生産される主な種類は、サケ(18.6万トン)、カラフトマス(1.8)、ニジマ ス(1.2)、ギンザケ(1.1)、その他のサケ・マス類(7000トン)です。これら のうちニジマス、ギンザケはすべて養殖によるものです。

漁業:自然分布域である北半球で行われています。漁法は、広い海域を回遊す るサケ・マス類を捕らえる流し網(海鳥やクジラ類の混獲が問題となり、現 在、公海ではほとんど行われていません)、沿岸を回遊するサケ・マス類を捕 らえる定置網のほか、刺網や延縄が使われています。また、河川に上ったもの は、網などで川を仕切り、サケ・マス類を1ケ所に集め捕らえるウライと呼ば れる捕獲柵が古くから使われています。  日本では、定置網(産卵のために沿岸まで帰ってきたサケ、カラフトマスな ど)や流し網(トキシラズ(6ページ参照))などで漁獲されます。放流用の稚 魚を人工的につくるためのサケの親魚は、河川で捕獲柵によって捕獲します。


   流し網            定置網          捕獲柵

養殖:サケ・マス類は養殖も盛んです。タイセイヨウサケ・ギンザケ・マスノ スケ・ニジマス(スチールヘッドトラウト)など多くの種類が世界各地で養殖 されています。タイセイヨウサケは、サケ・マス類で生産量が最も多い種類で すが、その生産のほとんどは養殖によるものです。日本にもノルウェーを中心 にチリやタスマニア(オーストラリア)などから“サーモン”として輸入され ています。また、チリから輸入されるスチールヘッドトラウト(陸封型がニジ マス)・マスノスケ・ギンザケなどもすべて海中養殖されたものです。
 日本でもいくつかの種類が養殖されていますが、ギンザケ以外はすべて淡水 での養殖です。ニジマス、イワナ、ヤマメは養殖量も多く、小売店などで見か けることもあります。このほかシナノユキマス、イトウ、ヒメマスなども養殖 されています。

         −4一

築地魚市場に入荷するサケ・マス

 築地魚市場に入荷するサケ・マスは下の表のとおりです。このうち、主要な ものについて紹介します。

  種類  亜種など     主な産地      入荷形態
--------------------------------------------------------
イトウ               栃木県       生鮮
ホッキョクイワナ        カナダ     生鮮
イワナ    アメマス     宮城県      生鮮      
        
イワナ       岩手県ほか  生鮮
オショロコマ           北海道      生鮮
カラフトマス          青森県・北海道ほか  生鮮
サケ              北海道・岩手県ほか  生鮮
ギンザケ            宮城県・チリ   生鮮・冷凍
サクラマス サクラマス   秋田県・青森県ほか   生鮮
        
ヤマメ      山梨県・静岡県ほか  生鮮
        
サツキマス  三重県       生鮮
        
アマゴ      高知県ほか   生鮮
        
ビワマス    滋賀県       生鮮
ニジマス  ニジマス     静岡県ほか   生鮮
       
スチールヘッド チリほか     冷凍
ベニザケ  ベニザケ    カナダ・アラスカ  冷凍
        
ヒメマス    北海道       生鮮
マスノスケ            岩手県・カナダ 生鮮・冷凍
タイセイヨウサケ        ノルウェー・チリほか  生鮮
シナノユキマス         長野県       生鮮
--------------------------------------------------------



1.サケ
和名:
サケ
流通名:アキザケ、オオメ、ケイジ、
    シロザケ、シャケ、トキシラズ、メジカ
英名:Chum salmon, dog salmon サケ
学名:Oncorhynchus keta
大きさ:最大で1m。
分布:茨城県、山口県以北、カリフォルニアまで。
漁場:東北、北海道の河川、オホーツク海、北部北太平洋。
生産国:日本(267718トン)、アメリカ(122081)、ロシア(22681)、 (1995年)カナダ(11992)
世界の生産量:
  
1990年   1991   1992   1993   1994   1995   
299438トン  266940  238427  286997  328487  424472
国内生産量: 
(他のサケ類含む)
 1994年   1995   1996   1997   1998   1999
227154トン  274332  306485  279736  210552  186304
輸入量:統計資料なし
築地市場入荷量: (生・冷凍・塩)
 
1995年  1996  1997  1998  1999  2000
4222トン  15116  13069   10997  10175   8562
入荷形態と利用:生鮮ラウンド(魚体丸ごとで、内臓も付いたまま)、塩蔵 セミドレス(鯉と内臓を除いたもの)で入荷します。塩鮭、焼物、 フライ、燻製、一度凍らせて刺身にする「るいベ」など。卵はスジ コ、イクラとして珍重されます。
備考:・東北地方や北海道の河川では、母川に戻ってきたサケを捕らえ、 人工ふ化放流事業を行っています。
 ・サケには、秋から冬にかけて北日本各地で漁獲されるもの(産卵 群、アキザケと呼ばれる)以外に、夏に東北地方太平洋岸で漁獲 されるトキシラズ(オオメ)、秋に北海道のオホーツク海沿岸で 産卵群に混ざって漁獲されるメジカやケイジと呼ぱれるものがあ ります。これらのサケは未成熟で、産卵群(アキザケ)より脂が のっているため、高値で取り引きされます。
 ・イクラはもともとロシア語で、魚の卵を意味するИКРА(イク ラ)に由来します。
ニジマス

2.ニジマス

和名:
ニジマス
流通名:ニジマス、トラウト
英名:Rainbow trout(一生淡水で生活するもの(陸封 Steelhrad trout(降海するもの)
学名:Oncorhynchus mykiss
大きさ:降海するものは最大1.1m、陸封のものは最大40cm。
分布:カムチヤッカ半島、アラスカ南部からカリフォルニア南部まで。
漁場:現在では熱帯域を除く世界中に移植。養殖も盛ん。
生産国:フランス(48500トン)、イタリア(40330)、チリ(40089)、デンマーク G995年)(34206)、アメリカ(25303),日本(13193)など世界61ケ国。
世界の生産量:
  1990年   1991   1992   1993   1994   1995
 
279926トン  286255  299471  314379  336669  361330
国内生産量:
  
1992年  1993  1994  1995  1996  1997
 
14480トン  14364  13280  13193   13583   13366

輸入量:
1992年   1993   1994   1995   
       19485トン   22604    31303    40508
輸入先:
チリ、タスマニアなどで、すべて養殖。
築地市場入荷量:統計資料なし
入荷形態と利用:国産の小型魚(ニジマス)は生鮮ラウンド、輪入の大型魚 (スチールヘッド)は冷凍ドレス(頭と内臓を除いたもの)で入荷。 塩焼き、甘露煮、燻製のほか、大型魚は切り身で惣菜にされます。
備考:本種の原産地は北アメリカの太平洋岸ですが、日本には明治9年 (1876)に移植されました。現在では北海道から愛知県までの1道 12県で養殖されています。釣りの対象としてもおなじみで、川のマ ス釣は、ほとんどがニジマスです。築地魚市場内に入荷するもの は、すべて養殖されたものです。



3.タイセイヨウサケ
和名:
タイセイヨウサケ
流通名:サーモン、ノルウェーサーモン サーモン
英名:Atlantic salmon
学名:Salmo salar
大きさ:最大1.5m。
分布:北部北大西洋。
漁場:北大西洋で漁獲されるほか、各地で養殖されています。
生産国:ノルウエー(269056トン)、イギリス(71145)、チリ(54250)、 (1995年)カナダ(33636)、アメリカ(14075)など。
世界の生産量:
1990年 1991 1992 1993 1994 1995
 
 236414トン 275798 256099 320474 379366 478639
国内生産量:
なし
輸入量:1992年  1993  1994  1995
   
25990トン 28162  27960  25902
輸入先:ノルウェー、チリ、タスマニアなどで、すべて海中養殖。
築地市場入荷量:統計資料なし
入荷形態と利用:主に生鮮セミドレスで空輸されます。刺身や寿司種など生 食のほか、惣菜などにされます。
備考:握り鮨に使われる“サーモン”は、ほとんどが本種です。ふつうサ ケ・マス類は寄生虫がいるので生食できないといわれます。サケ・ マス類の奇生虫である条虫(サナダ虫)の幼虫は、餌から魚の体内 に取り込まれ、その魚を生食した人に奇生するからです。しかし、 養殖されたサケ・マス類は、加熱や冷凍など加工された餌を与えら れているので、餌から寄生虫が入らず、生食できます。


ベニザケ
4.ベニザケ
和名:
ベニザケ
流通名:ベニザケ、ヒメマス(陸封)
英名:Sockeye salmon, red salmon
学名:Oncorhynchus nerka
大きさ:降海するものは最大60cm、陸封のもの(ヒメマス)は最大35cm。
分布:千島列島からカリフオルニア州北部まで。阿寒湖、ケミチップ湖。
漁場:北部北太平洋。
生産国:アメリカ(158618トン)、ロシア(14224)、カナダ(10465)、 (1995年)日本(6234)
世界の生産量:
    1990年  1991  1992  1993  1994  1995
198178トン  161228  199719  242628  183570  189564
国内生産量:
  (海域は除く)
    1990年  1991  1992  1993  1994  1995
      83トン  79    72    88    118   90
輸入量:1992年   1993   1994   1995
     
19485トン  22604  31303  40508
輸入先:アメリカ、カナダ、ロシア。
築地市場入荷量:  (生・冷凍・塩)
 1995年  1996  1997  1998  1999  2000
 11035トン 9456 8560 6391 5015 6571
入荷形態と利用:塩蔵や冷凍ドレスで輸入されます。塩焼き、燻製や缶詰な どにされます。国産のヒメマスは、養殖されたものが生鮮ラウン ドで入荷しますが、まれです。
備考:・サケ類のうち身の色が最も赤く、また、産卵期前になると全身が 鮮やかな赤色になります。
 ・日本に自然分布するものは、北海道の阿寒糊とチミケップ湖のヒ メマスだけです。海から河川に上るベニザケはいません。現在で は、十和田湖、中禅寺湖や本栖湖などに放流されているほか、各 地で養殖されています。
 ・秋田県の田沢湖にすみ、現在では絶滅したと考えられているクニ マスも本種の陸封型ではないかと考えられています。
 ・アイヌの人たちはサケをカムイチェポ(神の魚)、ヒメマスをカ パッチエポ(薄い小魚)と呼び、冬期の大切な食料としました。

ギンザケ
5.ギンザケ
和名:
ギンザケ
流通名:ギンザケ、チリギン
英名:Coho salmon, silver salmon
学名:Oncorhynchus kisutch
大きさ:最大98cm。
分布:千島列島、アラスカ、カリフオルニア南部。日本近海ではまれ。
漁場:北部北太平洋。
生産国:チリ(44037トン)、アメリカ(22307)、ロシア(1479)、 (1995年)日本(13794)、カナダ(5616)。日本、チリなどでは養殖。
世界の生産量:

1990年 1991 1992 1993 1994 1995
 
73598トン 82325 86859 74237 103868 87240
国内生産量:
 1995年  1996  1997  1998  1999
 
13524トン  8401  9927  8721  11148
輸入量:1992年  1993  1994  1995   
  19485トン  22604  31303  40508
輸入先:チリ、アラスカなど。
築地市場入荷量:  (生・冷凍・塩)
1995年 1996 1997 1998 1999 2000
72325トン 12129 11816 14364 10833 17526
入荷形態と利用:国産(養殖)は生鮮ラウンド、輸入は冷凍ドレスまたは生 鮮ラウンドで入荷。塩鮭、惣菜用の切り身などにされます。
備考:以前は日本各地で養殖が試みられましたが、輸入のサケ・マス類に 押され、現在では宮城県以外での養殖は、ごくわずかです。

マスノスケ
6.マスノスケ
和名:
マスノスケ
流通名:キングサーモン、スケマス
英名:Chinook salmon, king salmon
学名:Oncorhynchus tshawytscha
大きさ:最大で1.5mぐらい。
分布:日本海北部、東北地方以北、北太平洋北部からカリフオルニア南部 まで。日本の河川には遡上しません。
漁場:北部北太平洋。チリ、ニュージーランドでは養殖されています。
生産国:アメリカ(11219トン)、カナダ(10277)、ニユージーランド(2600)、 (1995年)ロシア(875)、チリ(371)、日本(195)
世界の生産量:
  1990年 1991 1992 1993 1994 1995
 
31666トン 34893 29323 27641 23300 25537
国内生産量:
  1992年  1993 1994 1995 1996 1997
 
14480トン 14364 13280 13193 13583 13366
輸入量:統計資料なし 輸入先:カナダなど。
築地市場入荷量:  (生鮮は除く)
  1995年 1996 1997 1998 1999 2000
 1211トン 1263 1133 863 1481 1126
入荷形態と利用:国産は生鮮ラウンド、輸入は冷凍ドレスまたは生鮮ラウン ドで入荷。塩焼き、ムニエル、燻製など、切り身で惣菜にされる。
備考:サケ・マス類の中で、イトウの仲間についで大きくなる種類です。
    そのためマスノスケ(マスの大将)、キングサーモン(サケの王様)などと呼ばれます。


7.サクラマス

ヤマメ
                      ヤマメ(片山 浩)
和名:サクラマス
流通名:ホンマス、ヤマメ(陸封)
英名:Masu salmon
学名:Oncorhynchus masou masou
大きさ:降海するもの(サクラマス)は最大70cm、陸封のもの(ヤマメ) は30cm。
分布:九州から北海道、オホーツク海。
漁場:サクラマスは日本海や東北、北海道沿岸で漁獲される。ヤマメは各 地で養殖されているほか、河川にも放流されている。
生産国(1995年)日本(2273トン)、ロシア(17)
世界の生産量:
 1990年  1991   1992   1993   1994   1995
2789トン   2954   3238  2342  2553  2290
国内生産量:
(養殖ヤマメのみ)
 1993年  1994  1995  1996  1997  1998 1999
 74トン 91   79   61   44   53  105
輸入量:なし
築地市場入荷量:統計資料なし
入荷形態と利用:サクラマス、ヤマメとも生鮮ラウンドで入荷。塩焼き、甘露煮、燻製、寿司などにされます。
備考:静岡県から瀬戸内海に面した河ノに分布する、体に朱色の点があるものをサツキマス(陸封型はアマゴ)、琵琶湖にすむものをビワマスと呼び、ともにサクラマスの亜種とされています。アマゴは、ヤマメとして流通することもあります。
    
カラフトマス
8.カラフトマス
和名:
カラフトマス
流通名:アオマス、マス
英名:Pink salmon,humpback salmon
学名:Oncorhynchus gorbuscha
大きさ:50cmぐらいになる。
分布:日本海、東北地方以北、北太平洋、ベーリング海。
漁場:オホーツク海、北太平洋。養殖は行われていない。
生産国:アメリカ(201700トン)、ロシア(148231)、日本(25037)、 (1995年)カナダ(19558)
世界の生産量:
 
 1990年   1991   1992   1993   1994    1995
235190トン  438998 216110  302568  326028  394526
国内生産量: (海域の漁獲を除く)
1991年 1992 1993 1994 1995 19961 997
729トン 3598 1511 3134 947 2091 927
輸入量:統計資料なし
輸入先:ロシアなど。
築地市場入荷量:統計資料なし
入荷形態と利用:国産は生鮮ラウンド、輸入は塩蔵ドレスで入荷。缶詰や惣菜などに利用されます。卵はマス子などと呼ばれ、「イクラ」のように加工されます。
備考:本種の未成熟のものは、春に東北や北海道から入荷します。同じ時期に入荷するサクラマス(ホンマス)に比べ、背側が緑色がかっているためにアオマスと呼ばれます。

イワナ
9.イワナ

和名:
イワナ
流通名イワナ
英名:Japanese charr
学名:Salvelinus leucomaenis                               イワナ(片山 浩)
大きさ:降海するもの(アメマス)は最大70cm、陸封のもの(エゾイワナ(アメマスの陸封型)、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ)は40cmぐらい。
分布:中国地方から北海道、朝鮮半島、沿海州、カムチャッカ半島まで。
漁場:日本各地で養殖や河川への放流が行われています。天然魚は少なくなっています。
生産国:日本
国内生産量: (養殖を除く)
1993年  1994  1995  1994  1995  1996  1997
 475トン  403  413   527   476   480   477
築地市場入荷量:統計資料はありませんが、各地で養殖されたものが入荷し ます。
荷形態と利用:生鮮のラウンドで入荷。塩焼き、甘露煮、燻製にされる。
備考:日本のイワナは、斑紋や分布から4つの亜種に分けられています。 山形県および千葉県から北海道に分布し、白斑の大きなアメマス、 鳥取県および山梨県以北に分布し、細かい白斑の多いニッコウイワナ、神奈川県から紀伊半島および琵琶湖に分布し、白斑の少ないヤマトイワナ、岡山県および島根県以西の中国地方に分布するゴギです。本州では、河川のもっとも上流にすむ魚です。

参考資料
FAO.1995.FAOyearbook fishery statistics-catches and landings,vol.80.
市川建夫.1977.日本のサケその文化誌と漁.NHKプックス,294.日本放送出版協会.
井田 斉・奥山文弥.2000.サケ・マス魚類のわかる本・山と渓谷社.
農林水産省統計情報部.2001.平成11年漁業・養殖業生産統計年報.
水産庁水産流通課.1999.水産貿易統計平成10年.
東京都中央卸売市場経営管理部業務課.2001.東京都中央卸売市場年報(水産物編).
長津和也・鳥津 稚(編).1991.漁業生物図鑑北のさかなたち.北日本海洋センター.



     −11一




   サケとマス/salmon(サーモン)とtrout(トラウト)

 秋になると、「サケとマスはどこが違うのか」と聞かれることが多くなります。「サケ科の魚を種類によってサケやマスと呼んでいるだけです」と答えています。よく聞いてみると、ほとんどの場合、サケは“あらまきざけ”にするサケ(シロザケ)、マスはサケ類にしては筋肉の色が淡いカラフトマスのことをイメージしているようです。
古い書物を調べると、昔から日本では鮭といえばサケ(標準和名)を、鱒といえばサクラマスをさしていました。近代になって北洋のカラフトマスも利用されるようになり、サケ・マス類と呼ばれるようになったようです。
 英語にも、
salmon(サマン、サーモン)とrout(トラウト)があります。ヨーロッパのタイセイヨウサケ属Salmoには、降海性の強いS.salar*と河川生活性の強いS.trutta**がいます。これらをそれぞれsalmon,troutと呼びました。北アメリカに進出したヨーロッパ人が太平洋岸で様々なサケ科魚類に出会い、同じような考え方で命名したと思われます。
 明治以降、海外から様々なサケ科魚類が日本に持ち込まれるようになりました。その時、英名を直訳し、たとえば、
rainbow troutをニジマス、silver salmon(またはcoho salmon)をギンザケなどとしたために名前の混乱が生じたようです(生田、2000)。

* 北部北大西洋に分布するタイセイヨウサケのことで、現在、ノルウヱーなどから養殖されたものが大量に輸入されています。北アメリカには陸封型もいます。
** ヨーロッパに生息するトラウトのことで、陸封型(ブラウントラウトと呼ばれる)以外に、降海型(シートラウト)もいます。

参考資料
遊磨正秀・生田和正.2000.ホタルとサケ.岩波書店.
ジー二アス英和大辞典.2001.大修館書店
片山 浩
 ブラウン

 

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 === 築地魚市場おさかな二ユース ===

スギ
 昨年、市場内で「クロカンパチはどんな魚か」という質問を何度か受けまし た。魚を見たところ、その正体はスギでした。スギは「クロカンパチ」の名前 で回転寿司店やスーパーに出回っているようです。これらのスギは、最近、沖 縄県や台湾で養殖されるようになったものです。
 「クロカンパチ」はカンパチに似た(?)肉質からの命名のようですが、 「沖縄県漁連では他産地との差別化を図っていきたい考えもあり、昨年(註: 2000年)8月に「クロカンパチ」から「おきなわスギ」に改名」しました(養 殖、2000)。理由が何であれ、標準和名であるスギの名前で流通することが望 ましいことはいうまでもありません。
 スギはスギ科(スギ1種だけを含む)の魚で、東部太平洋を除く世界中の暖 かい海の表層で生活しています。大型の魚で、体長1.5mにもなります。体は細 長い紡錘形(ぽうすいけい)。頭は縦扁(上下に平たい)して、頭の頂上は平 坦で幅広くなっています。背鰭(せびれ)の棘は大変短くて、一本づつが離れ て並んでいます。これらの棘は溝の中に収めることができます。  ところで、スギはカジキ類やサメ類など大型生物に吸着して生活をするコバ ンザメに近いと考えられています。体形や体側を縦に走る幅広い黒い帯だけで なく、大型魚類に寄り添って泳ぐ行動がよく似ているからです。「コバンザメ が腹を上にして吸着すると体の輪郭が一層スギに似」ます(尼岡、2001)。

スギ
                    上図  スギ 体長150cm
      下図 コバンザメ 体長110cm

参考資料
尼岡邦夫.2001.「魚のペテン師たち」・魚のエピソード.東海大学出版会. 山田梅芳.1986.「スギ」・東シナ海・黄海のさかな.水産庁西海区水産研究所. 「周年出荷をめざすスギ養殖」.養殖,2001(1):9−12. 「成長続ける台湾・小琉球のスギ養殖場 国内外の需要を担い1000トン/年生産」・養殖,2001(7):18−20.

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次回の展示テーマ

  「魚の旬春」 2002年4月1日〜6月29日
築地魚市場には日本中から魚が入荷します が、季節によりその種類や産地は変わります。 旬の魚を集めているからです。2002年度は 4回の展示で春夏秋冬の魚を様々なエピソー ドとともに紹介します。第1回は、マダイ、 サワラ、サヨリ、シロウオ、カツオ、メバル ・・・、春の魚です。